配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は, 離散的な変化係数モデルを用いた新たな空間データの分析手法を開発することである. 空間効果を考慮したモデリングを行うために, 回帰係数を位置に対して連続的に変化させる変化係数モデルを用いた局所推定を行うことが一般的である. このような手法は位置に対して柔軟な推定ができるという利点がある一方で, 大標本データや位置の偏りに弱い, 空間効果の離散的な変化を捉えられない, などの欠点がある. 本研究では離散的な変化係数モデルをfused Lassoを用いて推定する手法を開発し, これらの欠点の改善を目指す.
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研究実績の概要 |
空間データに対する回帰手法として, 従来は地理的加重回帰のような空間効果を連続的に評価する手法が用いられてきた. しかし, このような手法は位置座標を用いた観測地点間の距離に基づいた局所推定を行うため, 計算コストの問題や実用上の不便さがある. このような問題を解決するために, 本研究では fused Lasso を用いて空間効果を離散的に評価する手法の開発を目指している. 本年度はモデルの拡張において成果を挙げた. 既にロジスティック回帰モデルやポアソン回帰モデルにおける Generalized Fused Lasso (GFL) の最適化問題を解くためのアルゴリズムは開発しているが, これらを含むより一般的な枠組みに拡張するため, 一般化線形モデルに対する GFL の最適化問題を扱った. 一般化線形モデルに対しては, 広いクラスの下で解の更新式を陽な形で導出した. また, 解が陽な形で得られないときでも, 解が存在する区間を特定することができるため, ラインサーチなどの簡単な数値探索アルゴリズムにより解を探索することができる. さらに, 既存手法と比較して, 提案手法がより高速かつ正確に目的関数を最小化できることを数値的に示すことができた. この提案手法は, グループ構造を持つデータに対するグループ効果の推定の枠組みで提案されたが, 説明変数を持つモデルに対しても簡単に拡張でき, 汎用性の高い手法である. 一方で, 従来の連続的な手法についての研究も行った. 具体的には, 地理的加重回帰に sparse group Lasso を適用することで, 地理的加重回帰の局所的かつ大域的な変数選択を同時に行う手法を提案した. この手法により, 地理的加重回帰の予測性能を改善し得るという結果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
線形回帰モデルに対する generalized group fused Lasso に加え, 一般化線形モデルに対する generalized fused Lasso についての研究成果もあげることができ, これらに関して統計解析ソフト R のパッケージもいくつか作成することができた. また, 研究発表や論文の発表も着実にできていることからこのように判断した.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度となる次年度は, 研究成果のまとめおよび発信に力を入れたい. 国内外での研究発表を積極的に行うほか, まだ論文にできていない研究成果をまとめ, 発表できるよう努める. さらに, これまでは座標降下法によるアルゴリズムを開発してきたが, 解パスを得るためのアルゴリズムの開発にも着手したいと考えている.
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