研究課題/領域番号 |
21K13835
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
橋本 真太郎 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (60772796)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ベイズ推測 / 縮小事前分布 / 非正則モデル / グラフィカルモデル / 変数選択 / 一般化ベイズ法 / ベイジアンブートストラップ / モデル誤特定 / 一般化ベイズ / 空間統計 / 多変量切断正規分布 / ベイズ統計 / 分位点回帰 / 状態空間モデル / ロバスト回帰 / 変分ベイズ / 漸近理論 / 予測分布 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 |
研究開始時の研究の概要 |
誤差項が正の値でしか現れないような回帰モデルは,最大値や最小値の回帰を扱うのに適している.しかし,推測理論においては従来の漸近理論や情報量規準が適用できない非正則な問題となるためしばしば非正則回帰モデルと呼ばれる.本研究課題では,ベイズ統計の観点から,回帰係数ベクトルの事後分布の漸近的挙動と変数選択のための予測型情報量規準の研究を行うことにより非正則回帰モデルの構造解明を行う.また,事後分布の効率的な計算アルゴリズムを開発し,数値実験と実データ解析を通して性能を検証する.
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き,本研究課題である非正則回帰モデルの目的の一つである境界トレンドの推定問題について,ベイズトレンドフィルタリングの観点から研究を行った。多変量切断正規分布を尤度関数とし,事前分布に正規分布を仮定するとマルコフ連鎖モンテカルロ法を実装する際に,多変量切断正規分布からの乱数生成が必要になり,特にパラメータの次元が大きい場合には難しい問題である。本研究では,切断分布の指示関数をシグモイド函数で近似することで制約を緩和し,ポリア・ガンマデータ拡大法を使った効率的なサンプリングアルゴリズムにより事後分布の計算を行う方法を提案した。数値実験により,既存手法との比較を行い提案手法の有用性を確認した。また,応用例として生産曲線の推定や,地球温暖化に関して世界の平均気温の最大値と最小値のトレンド推定を行った。得られた成果を査読付き国際学術誌に投稿し,査読者からのコメントを反映したのち採択・出版された。
また,研究協力者とともにガンマ・ダイバージェンスを用いた外れ値に頑健なグラフィカルモデルに関する研究を行った。最適化における推定値と事後分布のモードをマッチングさせるような新たな事後分布をダイバージェンスに基づき構成し,外れ値が十分大きいときに事後分布から外れ値の影響が自動的に除外される事後分布の頑健性を理論的に示した。また,提案した事後分布を構成する尤度関数は,確率分布から誘導されるものではないため,事後分布が確率分布になるかどうかは自明ではない。そのため,事後分布が確率分布になるための事前分布の十分条件も導出した。遺伝子発現データに対して提案手法を適用し,有用性を確認した。これらの成果を論文としてまとめ,査読付き国際学術誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題とも関連の深い分位点回帰や境界のトレンド推定に関する論文が査読付き国際学術誌に3報採択されたから。また,外れ値に対して頑健なベイジアングラフィカルモデルに関する研究も研究協力者との共同研究により進展したため。
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今後の研究の推進方策 |
分位点の平滑化のためのトレンドフィルタリング法は,複数の分位点の同時推定において crossing という問題を有する。最近,スプライン法に基づく non-crossing なベイズ的平滑化が提案されたので,その方法を参考にトレンドフィルタリングの研究を行っていく。また,境界トレンドのベイズ推定に関しても外れ値が存在する場合の対処法がまだ確立されていないため,引き続きその課題に組んでいく予定である。
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