研究課題/領域番号 |
21K13849
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
久野 義人 秋田大学, 理工学研究科, 講師 (30753628)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 人工量子多体 / 多体局在 / アンダーソン局在 / 非平衡ダイナミクス / 量子エンタングルメント / 人工量子多体系 / フラットバンド / 量子傷跡 / 量子多体系 / 物性理論 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、光格子冷却原子系やフォトニック結晶などを用いて従来の固体物質では実行できない量子多体系の量子シミュレーションが可能となってきています. 人工量子多体系は高度に制御可能であり固体物質と比較しても粒子間相互作用や不純物効果を制御でき新奇物性現象の探索に最適なプラットフォームを与えます. 本研究ではそのような人工量子多体系においての多体局在問題の理論的研究に取り組みます. 平坦バンド系あるいは長距離相互作用をもつ系に着目し、不純物誘起ではない新奇多体局在現象の探求、及び、特定の多体固有状態のみが局在しかつ熱平衡化しない特殊な固有状態、いわゆる量子傷跡の発現機構の探索を行います.
|
研究成果の概要 |
フォトニック結晶や冷却原子系で構成可能な人工量子多体系の理論モデルをターゲットに新奇な局在現象の性質を明らかにした. 特に、研究期間全体を通してフラットバンド系の理論模型および多体相互作用を含む疑似的可積分系での理論模型に着目し不純物ポテンシャル誘起ではない局在および多体局在現象を数値的計算により明らかにした. また非平衡ダイナミクスの詳細な解析により三体相互情報量を用いることで局在的傾向を初期状態依存性に関係なく特徴づけられることを明らかにした. また観測誘起型相転移にも着目し、不純物誘起ではない局在現象の非平衡ダイナミクスを特徴づけた.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで局在や多体局在現象は不純物ポテンシャルに起因して起きるものと考えられていたが、本研究においてはフラットバンド上のコンパクト固有状態の存在や多体相互作用によって並進対称性を保ったまま局在や多体局在現象が起きるという実例を示した. この成果は従来の局在物理では考えられていなかった新奇な局在の発現機構を例示したという点で学術的意義がある。また、このような多体局在現象は初期の量子状態を保護する機構も持っており今回の不純物ポテンシャルによらない局在現象の発現は単一サンプルで初期の量子情報の保持につながる可能性がある. この性質は量子デバイスの開発などへの応用も期待され社会的意義もある.
|