研究課題/領域番号 |
21K13858
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松田 拓也 東京大学, 物性研究所, 特別研究員 (30881239)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | テラヘルツ / ワイル半金属 / 非線形応答 / テラヘルツ輸送現象 / 光物性 / テラヘルツ分光 |
研究開始時の研究の概要 |
空間反転対称性の破れたワイル半金属は、巨大な2次の非線形応答を示すことが報告され近年大きな注目を集めている。本研究ではワイル半金属が示すトポロジカルな性質と2次非線形応答の関係に注目し、テラヘルツ非線形分光を中心とした測定を行う。 テラヘルツ帯は、ワイル点周りのバンド内・バンド間遷移の寄与も含めて包括的に議論できる点で重要な周波数帯である。また、テラヘルツ非線形応答の性質を解明することは周波数変換素子などの高速エレクトロニクス応用においても重要である。テラヘルツ非線形応答の結晶方位依存性や温度依存性を詳細に調べ、ワイル半金属の2次非線形応答の発現機構に関する新たな知見を得ることを目指す。
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研究成果の概要 |
空間反転対称性の破れたワイル半金属はその非相反性に由来して2次の非線形相互作用が現れる。これまではdcあるいはエネルギーの高い光(0.1―1 eV)によって電磁応答が調べられてきており、そのギャップを埋めるテラヘルツ分光がフェルミ面近傍の応答を探るという点で重要である。 本研究ではワイル半金属Td-WTe2におけるテラヘルツ帯の電磁応答を調べた。室温で第2高調波および第3高調波発生の観測に初めて成功した。また、テラヘルツ帯の室温非線形ホール効果の寄与は十分小さいことがわかった。さらに、Td-WTe2のような微小試料のテラヘルツ応答の計測を可能にするオンチップテラヘルツ分光計測技術を開発した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では空間反転対称性の破れたワイル半金属のテラヘルツ応答を調べたが、特に室温で高効率な第2および第3高調波発生を観測したことは、基礎物理学的側面のほかテラヘルツ周波数変換素子などの高速エレクトロニクス応用においても重要であると考えられる。また、オンチップテラヘルツ分光計測技術開発を進めたことは、従来のテラヘルツ分光測定ではなしえない剥片試料にも適用できるため、今後、様々な物質の低エネルギー応答の理解が進むことが期待される。
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