研究課題/領域番号 |
21K13860
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉川 尚孝 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (20819669)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 光誘起相転移 / 遷移金属ダイカルコゲナイド / テラヘルツ分光 / 高強度テラヘルツ波 / 電荷密度波 / テラヘルツ波 / 非平衡状態 / 振幅モード / 2次元物質 / 超高速分光 / 超伝導 |
研究開始時の研究の概要 |
超伝導や磁性などの複数の秩序相を示す物質においては、電荷、スピン、格子などの複数の自由度が関与し、秩序同士が相関の下に存在している。秩序間の相関を理解し制御することは物質機能として重要であるとともに、発現する物性のミクロスコピックな知見を与えると考えられる。光による非平衡状態の研究は動的に秩序間の相関を紐解き、静的な外力では到達し得ない隠れた秩序相の発現といった新奇な現象を引き出す物性制御のツールとして着目されている。本研究では、相転移現象の本質を担う秩序変数を光で操作することによる物性制御を目指し、高強度テラヘルツ波を用いた遷移金属ダイカルコゲナイドの非線形光学実験を遂行する。
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研究成果の概要 |
本研究では、電荷密度波(CDW)を示す遷移金属ダイカルコゲナ イド薄膜における、低光子エネルギーのテラヘルツ(THz)波による非熱的なCDW融解現象を観測した。その起源を種々のポンププローブ分光によってダイナミクスから追求し、主にTHz波パルスのエネルギーがCDW形成に関わる電子格子部分系へ選択的注入によるものと結論づけた。CDW融解強度以上で新たなフォノン振動を観測し、超高速な格子の変形が示唆された。また、THz波に誘起される非熱的状態は100 ps以上持続することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は固体電子系の電子秩序相の一種である電荷密度波について、相転移を特徴づける秩序変数の光による操作と動的な相転移を目指したものであり、成果としてテラヘルツ波による非熱的な電荷密度波の融解現象の観測とその起源解明をした。高強度テラヘルツ波を用いることで効率的かつ1ピコ秒スケールの時間で超高速な電荷秩序の制御を実現し、電荷密度波の制御ツールとして低光子エネルギーのテラヘルツ波を用いることが有用であることを示した。省エネルギーの超高速スイッチングの動作原理などに繋がることが期待される。
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