研究課題/領域番号 |
21K13863
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河口 真志 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (90792325)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | スピントロニクス / ディラック半金属 / 逆ファラデー効果 |
研究開始時の研究の概要 |
光と電子スピンの関係について、逆ファラデー効果によって生じるスピン流という新たな観点から研究を行う。特に、近年その特異な電子状態に着目してから盛んに研究が行われているBi等に代表されるディラック電子系を舞台として、逆ファラデー効果によってスピン流が生み出される過程について理解を深める。その成果を基にしてワイル半金属、トポロジカル絶縁体といった特異なバンドを持つ物質群に研究を展開していくことを目指す。
|
研究実績の概要 |
ディラック半金属であるBiにおいて、円偏光を照射した際に電子にその角運動量が受け渡されることでスピン流が高効率に生じていると示唆される結果について、その原理を確かめるべく実験を行った。 これまで、不純物をBiに導入することで電子構造を変化させ、その結果として光-電子間での角運動量移行現象に生じる変化を通じて原理解明への糸口を探って来た。不純物を導入する方法としてこれまで用いていた不純物とBiを交互積層する手法では、Bi中に不純物が均一に拡散していない懸念があったため、不純物とBiを同時に製膜することで均一な物質系を作製する方法について取り組んだ。昨年度までについてはその結果として交互積層膜とはかなり異なる結果が得られていたが、今年度X線回折から交互積層膜と同時積層膜では構造が異なることが明らかになり、その原因が製膜時の温度に関係していると推定されたため、同時製膜の手法について改善を行った。それによって、同時製膜の手法と交互積層の手法について類似の結果が得られるようになった。 またそれと並行して電子系に角運動量が受け渡されている証拠を実証する実験を行った。これまで、円偏光入射によって生じる起電力がその根拠と考えてきたが、起電力を生じる現象には様々な要因が考えられるため、電子スピン固有の現象について着目して実験を行ってきた。前年度までについては強磁場を印加する実験を行ったが、特に有意な結果が得られなかった。それを受けて本年度についてはBi/強磁性膜にパルスレーザーを照射して強磁性体に変化が生じるか観測する実験を開始した。こちらは測定系の立ち上げには成功したものの、試料構造についてまだ検討が必要である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Biに不純物を導入する実験については進展が見られたものの、電子系に角運動量が受け渡されている点についてこれまでと異なる角度から実証する実験については難航している。計画段階で予定していた強磁場を印加する方法については、実施したものの有意な結果が得られなかったため、方針を変更しパルスレーザーを用いた実験を開始している。
|
今後の研究の推進方策 |
Biに不純物を導入する実験については進展が見られたものの、電子系に角運動量が受け渡されている点についてこれまでと異なる角度から実証する実験については難航している。計画段階で予定していた強磁場を印加する方法については、実施したものの有意な結果が得られなかった。今年度以降についてはパルスレーザーと強磁性体を用いた実験を行うことでこの点を明らかにしていく予定である。
|