研究課題/領域番号 |
21K13886
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
山本 慧 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 副主任研究員 (10746811)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 磁性体 / スピン波 / 非線形 / 表面弾性波 / 非線形性 / スピントロニクス / 非相反性 / 磁性材料 |
研究開始時の研究の概要 |
磁石を伝播する磁気の波(スピン波)は、ジュール発熱や過酷環境耐性に限界がある半導体電子機器の問題点を解決するための候補技術の基礎現象として、スピントロニクス分野で盛んに研究されている。この研究では、磁石にマイクロメートル以下のスケールで周期構造を加工する事でスピン波の性質を制御し、特にその伝播を一方通行にする可能性を理論的に探る。スピン波の一方通行性は半導体を排した構造においてダイオード機能を実現するための基礎技術となることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究計画では磁性体を人工的に加工することでそこを伝搬するスピン波に非相反性を付与するための理論研究が目的である。このような観点から、今年度は厚電基板上を伝搬する表面音波が磁性体の三角格子構造においてスピン波と結合した際に非相反性を生じる現象について研究を行なった。三角格子が空間反転対称性を破ることによって生じるブリルアンゾーン中にある2つの角の非等価性に着目し、これら2つのバレー自由度が表面音波の右回りと左回りの波面を持った軌道角運動量状態に対応することを理論計算によって明らかにした。このようにしてデザインされた格子を理化学研究所の実験グループが作成し、実際に表面音波の透過率に非相反性が生じることを確認した。この結果をまとめた論文がPhysical Revie Lettersに掲載された。 関連して、表面音波によってvdW反強磁性体であるCrCl3における反強磁性スピン波共鳴を引き起こした実験データの理論解析を行い、共鳴吸収の磁場角度依存性からCrCl3の磁気異方性が正確に決定できることを発見した。この成果もPhysical Review Lettersに掲載された。 また昨年度から継続して行なっている、スピン波の非線形効果によって一様強磁性共鳴のコヒーレンス時間を1桁以上延長する研究を完成させ、実験結果はNature Materialsに発表され、理論論文はPhysical Review Bに掲載予定である。これらの成果について国際学会Magninicsにおいてチュートリアル講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画のスピン波マグノニック結晶そのものとは異なる形で、人工周期加工による非相反性の実現という研究目標を表面音波において達成できた。また反強磁性体のスピン波に関する研究にも発展しつつあり、今後反強磁性体にも人工周期構造を取り入れる研究を行なっていくことを検討している。また昨年度から新たに生じた方向性であるスピン波の非線形性についても順調に成果を積み上げることができており、発振や高次高調波発生などより多様な非線形現象を開拓していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、主にスピン波の非相反性を平面波ではなく軸対称性を持つような磁性体ディスク上の磁気励起に拡張していくことを計画している。この目的のためにフランスグルノーブルのSpintecに所属するOlivier Klein博士と協力して、理論・実験両面で研究を開始している。特に波面が左右に回転するスピン波の間の非相反性について理論的定式化を行い論文発表を行う予定である。年度内に3ヶ月程度のまとまった研究滞在を行い、実験装置のデザインやシミュレーションを現地で行う。これと並行して、スピン波の非線形性について、自励発振の磁気抵抗効果による測定や磁性体薄膜ヘテロ構造におけるスピン波2次高調波発生などの新現象を開拓していく。
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