研究課題/領域番号 |
21K13900
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分14020:核融合学関連
|
研究機関 | 長岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
内田 雄大 長岡工業高等専門学校, 電気電子システム工学科, 助教 (70896810)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 核融合発電 / ヘリウム照射 / プラズマ対向壁 / 電子顕微鏡 / ブリスター / タングステン |
研究開始時の研究の概要 |
エネルギー問題の解決・脱炭素社会の実現のため、核融合発電が注目されている。核融合装置の炉壁材料はさまざま放射線の入射により損傷する。本研究では、ブリスターと呼ばれる水ぶくれ状の表面剥離に着目し、その生成メカニズムについて調査する。加速器によりヘリウムイオンを材料へ照射し、ブリスターを生成する。照射後の試料について、顕微鏡や硬さ計によりブリスターの直径や亀裂の深さ、照射による硬さの変化を測定する。また計算により、材料内部を損傷させる過程を調べる。本研究成果は、将来の核融合炉壁材料の選定や炉壁の厚みなどの設計指針を推定するための重要な知見を提供する。
|
研究実績の概要 |
本年度は,(1)拡散方程式の解析解を導出し,タングステン内のヘリウムの濃度分布を計算し,(2)タングステン試料の初期欠陥を回復させるための管状炉を開発した. (1)これまでヘリウムの挙動を解析には差分法による数値シミュレーションを用いてきた.しかし,実際に核融合システムで入射しうる粒子フラックで試料内のヘリウム拡散挙動を解析するためには,マイクロメートルオーダーの空間を数時間オーダーの時間で解析する必要がある.クーラン条件により空間ステップと時間ステップには制約がかかるため,興味のある結果を得るためには計算コストをかける必要がある.そこで,ヘリウムの蓄積量を大まかに見積もるため,拡散方程式の解析解を導出した.具体的には,拡散源であるヘリウムの濃度分布をガウシアンで近似し,フーリエ変換を用いて導出した.これにより,数日の計算時間を要する計算を瞬時に行うことが出来るようになった.また,得られた数密度を求める式から蓄積されたヘリウムが作る内圧を計算した.同様に実験時の粒子フルエンスから内圧を計算し,比較したところ実験結果とおおよそ一致することを確認した.これはブリスターの内圧から,ブリスターを駆動するために十分な粒子フルエンスと静電加速器の運転時間を見積もれる関係式を得たことを意味する. (2)ブリスターの生成特性は,同じ材料であっても結晶粒径,初期欠陥密度,残留応力,結晶方位などのパラメータに依存する。そこで,アニールにより初期欠陥を回復させるための実験系を構築した.窒素+水素雰囲気で1400度で1時間アニールすることで,多結晶タングステンの再結晶化を確認した.これにより,材料の初期条件によるブリスター生成の依存性を低減できると考えられる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブリスターを駆動するために必要な加速器の運転時間を大まかに予想できる計算式を導出できた.実際の核融合システムにおいて,ブリスターが発生する臨界照射量を予測できる可能性を示唆する.
|
今後の研究の推進方策 |
得られた計算式と単結晶・多結晶タングステンでの実験結果を比較し,それらのずれを評価する.また,ヘリウム照射による試料の温度上昇も考慮した拡散挙動を解析したい.
|