研究実績の概要 |
本研究の目的は、トーラスプラズマにおいて乱流伝播機構を実験的に明らかにすることである。当初予定では、九州大学のPLATOトカマク装置に新規計測器を導入し、乱流の半径方向相関を計測するという手段での目的達成を目指していた。ところが、PLATOトカマク装置の立ち上げスケジュールが遅れ、計測対象のプラズマが生成不可であるため、今年度は主にデータ解析手法の開発をおこなった。揺動イメージングデータより、プラズマの速度場を推定する「Velocimetry」手法が広く用いられている。核融合研究で従来用いられている、Particle Image Velocimetry with Orthogonal Dynamic Programing (PIV-ODP)手法と、太陽観測で用いられているLocal Correlation Tracking (LCT)のアルゴリズム比較を行い、特に計測される乱流セルの大きさが比較的大きい場合に、後者でよい結果が得られることを示した[T. Kobayashi, et al., Plasma and Fusion Research, 18, 1402058 (2023)]。位相空間に分布するプラズマ揺らぎの解析法を開発した[T. Kobayashi et al., Physics of Plasmas 30, 052303 (2023)]。位相空間揺動の計測実験手法に関するオーバービュー論文を執筆した[T. Kobayashi, Plasma and Fusion Research 18, 2402059 (2023)]。米国ジェネラルアトミクスとの共同研究により、DIII-D装置における乱流伝播機構の物理研究に関するデータ解析を行なった[T. Kobayashi et al., Physics of Plasmas 30, 032301 (2023)]。
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