研究課題/領域番号 |
21K13913
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
原田 了 国立研究開発法人理化学研究所, 数理創造プログラム, 基礎科学特別研究員 (80844795)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | 超新星爆発 / 数値相対論 / 流体力学 / ニュートリノ輸送 / ニュートリノ観測 / 機械学習 / ニュートリノ振動 / 中性子星 / 数値シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
超新星爆発は大質量星が死ぬ時の爆発であり、中性子星が生まれる現象でもある。本研究は、この現象を調べるために数値シミュレーションを行う。まず、先行研究では近似的に扱っていた部分を厳密に取扱うことで、従来より高精度な結果を得られるよう初年度にプログラムを開発する。次年度以降には実際にシミュレーションを行い、もとの親星の性質と爆発のメカニズム、そして中性子星の形成過程の関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、超新星爆発を経て中性子星が生まれる過程を第一原理的、つまり一般相対論的かつボルツマン方程式に基づくニュートリノ輸送シミュレーションで解明することを目指すものである。具体的には、ニュートリノ用のボルツマンコード、流体力学方程式を解く流体コード、重力のためにアインシュタイン方程式を解く数値相対論コードから構成されるシミュレーションコードを開発し、それを用いた星の重力崩壊シミュレーションを行う。初年度から第二年度にかけては、比較用の非相対論的なシミュレーションの分析を進めつつ、パーツとなるコードの開発とテストを綿密に進めた。第三年度においてはこれらのパーツを結合して超新星シミュレーション用の本番コードの開発を行い、数値計算の精度に影響する微小だが重要なエラーの修正を進めた。またこの際、当初のコードの設計ではシミュレーションが正確に行えないことが判明し、コード全体の抜本的な修正も行ってこれを完了させた。 理論的なシミュレーション研究を進める一方で、超新星爆発と中性子星形成の過程を調べる上では、観測的なアプローチも欠かせない。そのために、第二年度では本課題の一環として、将来観測されるであろうスーパー/ハイパーカミオカンデでの超新星ニュートリノデータを解析するための公開コードを開発した。第三年度ではこの論文の執筆も完了させ、論文誌に掲載された。この論文は本課題の中心となる超新星爆発の理論モデルと実際の観測データとの橋渡しとなるものであり、本課題のインパクトを高める役割を果たす。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度・第二年度に開発していた数値相対論+流体コードの開発を完了させ、非相対論的コードでも利用していたニュートリノ輸送コードと結合した。この際、研究計画当初の設計ではシミュレーションが高精度に行えないことが判明したため、コード設計を抜本的に見直し、その修正実装まで含めて完了させた。このコードを用い、現実的なモデルに即した星の重力崩壊シミュレーションを行ったところ、テスト段階では検出できなかったエラーが発生したため、この修正を進めた。この問題は当初想定されていなかったものだが、これまでのコードのテストにより問題のない範囲が比較的はっきりしているため、調べるべき部分も絞り込まれており、もうすぐ修正が完了してシミュレーションを開始できる見通しである。 また、第二年度で開発した超新星ニュートリノ解析公開コードについての論文も執筆し、論文誌への掲載まで完了した。これは超新星の理論と観測をつなげる上で重要な役割を果たし、本研究のインパクトを増強するうえで重要な役割を果たす。 以上のように、研究計画当初にはわからなかった問題が発生しつつもこれを確実に乗り越えつつ、課題成果をより意義深くする取り組みも平行して進めており、研究課題はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
可能な限りコード開発を丁寧に行うことでこそ、信頼できる第一原理的シミュレーションとして世界的なインパクトのある成果を創出できる。より綿密にコードのテストを行い、信頼性を高めるために、本研究課題は計画を1年延長した。今後の計画においては、コード修正を完成させ、十分な精度を持っていることを確認したのち、星の重力崩壊シミュレーションを行い、超新星爆発やブラックホール形成等のシミュレーションを行って星の最期の姿の理論的な解明を完成させる。
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