研究課題/領域番号 |
21K13915
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
衣川 智弥 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (90779159)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 初代星 / 連星進化 / ブラックホール / 白色矮星 / 重力波 / 連星ブラックホール / 大質量星 / 中性子星 |
研究開始時の研究の概要 |
2015年9月14日、世界で初めて重力波(GW150914)が直接観測された。重力波の存在が直接証明されたことにより、今後の重力波研究は、重力波を用いてどの様に天体の物理を解明していくかというフェイズに切り替わりつつある。重力波観測のメインターゲットはコンパクト連星の合体である。重力波による連星合体までの時間は数億年から宇宙年齢以上と非常に長いため、重力波源として宇宙初期からの寄与が有力視されている。したがって、宇宙初期からの各時代での連星の特徴を明らかにし、重力波観測結果からどのような星の進化、形成情報が得られるかの考察が急務である。重力波観測と理論の比較により星進化の物理の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度中には、主に以下の研究を行った。 ・重力波観測で見つかったブラックホール―中性子星連星について孤立連星系での形成が可能かを検証し、形成可能であることを示した。また、ブラックホールー中性子連星は形成当初は中性子星がパルサーとして電波放射をすることが予想されている。しかし、いまだ電波による観測はできていない。本研究では、ブラックホールー中性子星連星発見とブラックホールーパルサー連星の未発見は無矛盾かどうかを検証した。現時点での電波観測においては未発見であることは無矛盾だが将来計画によりブラックホールーパルサー連星が観測されるであろうことを示した。電波での将来観測によりブラックホールーパルサー連星が観測されることにより、重力観測と電波観測を組み合わせることでブラックホールの形成理論に制限を与えることができることを示した。 ・大質量な初代星の連星進化計算を行い、このような連星がどのようなコンパクト連星として宇宙空間に残るかを見積もった。また、これら大質量な初代星起源のコンパクト連星が今後の重力波観測によって発見されうるかを検討し、十分にその可能性があることを示した。また、発見された場合、初代星の初期質量及び連星の進化パラメータへの制限を行えることを示した。 ・重力波の将来観測計画において、白色矮星同士の連星合体をどの程度の頻度及び精度で観測可能かを見積もり、白色矮星の連星合体が有力な起源候補と考えられているIa型超新星爆発の起源天体への制限及び同定にどの程度寄与できるかを見積もった。DECIGOといったデシHz帯の重力波観測が動き出すことで、Ia型超新星の期限に迫ることができると示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度中に共著合わせて3本の論文を出版し、連星及び重力波天文学について多角的に研究を行い成果を上げている
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今後の研究の推進方策 |
今後は重力波の第4期観測も始まり、より多くの観測結果が出てくることが期待されている。 観測結果を鑑みることでより理論の検証を進めていくつもりである。
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