研究課題/領域番号 |
21K13919
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 九州大学 (2022-2023) 国立研究開発法人理化学研究所 (2021) |
研究代表者 |
福井 徳朗 九州大学, 基幹教育院, 助教 (40757118)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | クラスター構造 / 核力 / カイラル有効場理論 / 理論核物理 / クラスター |
研究開始時の研究の概要 |
物質は階層性を持ち、階層間の普遍性や独自性の解明は物理学の最重要課題の一つである。近年、各階層におけるクラスター現象を通して、物質の階層構造を解明する研究が精力的に行われている。本研究では、物質階層の中でも、フェムトスケール(10のマイナス15乗メートル)の原子核のクラスター現象に注目する。原子核クラスターに関する課題は、クラスターと核力の関係が解明されていないことである。そこで、先端的な理論が導く核力に基づき、原子核クラスター構造を微視的に理解することを本研究の目的とする。これは、クラスター構造をpi中間子交換の回数と多体力の観点から理解する世界初の試みである。
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研究実績の概要 |
原子核の中でも特異的に安定な4He(アルファ粒子)は、原子核の構成粒子として振る舞うことがあり、そのような原子核の状態をアルファクラスター構造と呼ぶ。アルファクラスター状態における大きな課題の一つが、クラスター状態が核力(2核子間および多核子間に働く相互作用)の観点から十分に理解されていない点である。
前年度から引き続き、本年度はカイラル有効場理論で導出される非中心力がクラスター構造にどのように寄与するのかを明らかにするために、スピンアイソスピン飽和を仮定しない一般的な模型の定式化を試みた。定式化をまとめた論文は Prog. Theor. Exp. Phys. 2023, 073D03 (2023) [https://doi.org/10.1093/ptep/ptad087] に掲載された。
さらに、核力のうち、3つの核子に働く3核子力の性質を分析した結果を Prog. Part. Nucl. Phys. 134, 104079 (2024) [https://doi.org/10.1016/j.ppnp.2023.104079] に発表した。3核子力が原子核の安定性にどのように寄与するのかを明らかにした点で、本研究対象であるクラスター構造と密接に関係している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究手法を一般化した内容を論文として出版することができたことは重要な成果である。これは原子核クラスターを核力から理解するための重要なステップであり、また、当初の研究計画に沿った進展である。さらに、3核子力と原子核の安定性について知見を得られたことは、今後のクラスター物理の研究をさらに発展させる成果である。
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今後の研究の推進方策 |
定式化をまとめた論文を基礎として、中性子とアルファ粒子の散乱状態を反対称化分子動力学模型によって計算する。これは、散乱観測量を通して、核力とクラスター現象の関係を明らかにするものである。また、既に存在する他の核子多体計算との比較、つまりベンチマークも同時に行う。
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