研究課題/領域番号 |
21K13938
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
澤野 達哉 金沢大学, 先端宇宙理工学研究センター, 助教 (40738051)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 放射線検出器 / 宇宙物理学 / X線 / ガンマ線 / 天文学 / 重力波 / コンパクト天体 |
研究開始時の研究の概要 |
コンパクト連星合体によって形成された相対論的ジェットや合体直後の高密度天体の周辺環境を、X線・ガンマ線帯域の観測により探究する。 JAXA革新技術実証衛星3号機の相乗り衛星として2022年打ち上げ予定の金沢大学衛星を活用し、重力波源に対するX線・ガンマ線観測を行い、地上望遠鏡に対応天体の発生時刻・方向情報について迅速な通報を行う。 連星中性子星合体が短時間ガンマ線バーストの親星であるか、相対論的ジェットの駆動起源は何であるかを観測データを元に検証する。
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研究実績の概要 |
本研究課題における観測手段である金沢大学衛星1号機の輸送機搭載への認定基準を満足することを振動試験による環境試験にて遅滞なく実施し、所定の基準である剛性と音響試験に対する強度を人工衛星がもつことを満足させた。さらに、輸送機への取り付け作業を遅滞なく実施し、日本時間2023年12月2日にSpaceX社のFalcon 9ロケットにより人工衛星の打ち上げを行った。打ち上げ後、衛星は軌道上で電源系・展開系・通信系・姿勢制御系が機能することを金沢大学に新たに設置する地上局によって2週間以内に確認した。ミッション系である広視野X線撮像検出器とガンマ線検出器の電源投入を行い、宇宙軌道上で観測機器が打ち上げ前と同等の消費電流、温度環境を実現し、軌道上でも電気的に機能すること、さらに高電圧を印加することで放射線を測定できることの実証を行なった。ガンマ線検出器を用いて、地球磁気圏に捕捉された荷電粒子の観測も同時に行い、過去の衛星観測と無矛盾な測定結果を得た。赤道付近での宇宙背景X線放射の測定を行い、連続スペクトルの取得に成功し、放射化によるラインガンマ線の測定にも成功した。以上による本年度のテスト観測により、4月から予定する科学観測の準備が完了した。また、打ち上げ前の広視野X線撮像検出器の撮像性能について地上較正試験をX線ビーム源により行い、ミッション要求の位置決定精度をおおむね達成する性能を確認し、査読付き論文として報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
衛星打ち上げを大学が管理可能な範囲の中で最も順調に実現させ、また宇宙軌道上で観測機器の立ち上げを行い、軌道上でも観測装置の科学観測が可能であることを実証できた。我が国の大学で製作する50kg級大学衛星で衛星バスが健全に機能し、かつ搭載装置が本格的な天体観測ができることを実証できた例は初めての実績となり、その準備を着実に研究期間内に実現できたことはおおきな成果である。 また、観測装置のうち広視野X線撮像検出器については、打ち上げ前の性能を実験的に検証した成果を査読付き論文で報告できており、客観的に裏付けられた成果を挙げている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究進捗により、軌道上での突発天体の観測実証と打ち上げ後の観測機器のエネルギー較正、時刻較正、および位置決定能力の検証を実施することが課題として残っている。これを実施するため、他の観測衛星とのガンマ線バーストなどの突発天体の同期観測の実現と、その観測データを用いたクロスキャリブレーションの実施を行う。これらが実現でき次第、論文として成果報告を可及的速やかに実現する。また、重力波干渉計や他の観測装置との同期観測を実現し、当初の科学観測の探究を進めるため、昨年度に引き続き、金沢大学地上局での衛星運用を行なっていく。
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