研究課題/領域番号 |
21K13941
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉田 学立 大阪大学, 理学研究科, 特任助教(常勤) (20733140)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
|
キーワード | ミューオン / トリガー / 高放射線環境 / 高放射能環境 |
研究開始時の研究の概要 |
COMET実験は、電子の200倍重いミューオンという素粒子の未発見の性質を探す実験である。東海村J-PARCの大強度陽子ビームを用いて、大量のミューオンを生成し、その崩壊を調べることで、現在の標準理論の枠組を超えた新しい物理現象の発見を目指している。ミューオンを生成する過程で、大量の放射線も同時に発生するため、高レベルの放射線環境の中でも高効率で信頼性の高い検出器が必要である。本研究では、その検出器の一部である(データの取得を決定する)トリガー機構の開発を行う。深層学習などを用いたアルゴリズムでリアルタイムに高効率でトリガー発行を行うことで、稀な物理事象の探索感度向上を狙う。
|
研究成果の概要 |
茨城県東海村J-PARCにおいて、世界最高強度のミューオンビームを用いたμ稀崩壊探索を行うCOMET実験のためのトリガー機構の開発を行なった。大強度ミューオンビームに起因する高放射線環境においても、高効率で動作が可能なトリガー機構を構築することで、探索感度の向上が期待できる。 フロントエンド電子回路の改良と量産を行い、実際にCDC検出器に導入することができた。一部領域を用いた性能評価試験も行い、トリガーシステムに要求される性能を満たすことを確認した。また、本実験開始に必要とされる電源装置、ケーブル、ネットワーク機器、電子回路制御用のサーバーなど、システム運用のためのインフラの整備を完了した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
COMET実験で探索するミューオン電子転換過程は、素粒子の標準理論では禁止されており、もし見つかれば新しい物理モデルの直接的な証拠となりうる非常に重要なプロセスである。しかしながらこの重要なプロセスの探索は、技術的な困難さから、世界を見回しても30年以上新しいプロジェクトが未だ開始していない。世界に先駆けて、日本の施設(J-PARC)で探索を開始することは、素粒子物理学実験において、大きな意味があると考える。本研究は、その探索の感度の向上を狙ったものであり、COMET実験の価値を底上げし、また、技術的にも他のプロジェクトに応用可能な価値のあるプロジェクトであると言える。
|