研究課題
若手研究
本研究では電弱統一理論の検証および新物理の探索へ向け、素粒子のみからなる水素様純レプトン原子ミューオニウムの1S-2S遷移の精密分光を行う。Yb添加ファイバー増幅器を用いた1S-2S遷移2光子励起用高出力光源を開発し、先行研究より3桁小さい不確かさ10 kHzでの1S-2S遷移周波数の測定を目標とする。これにより、基礎物理定数であるミュー粒子質量の決定精度を向上させ、電弱スケールの新物理探査を目指す。
ミューオニウム1S-2S遷移分光に用いる深紫外レーザーの基本波光源として,Yb添加ファイバ光増幅器の開発を行った.光増幅器はシミュレーションによる設計に近い増幅度を達成し,数ワットの高出力化に成功した.並行してJ-PARCの高強度ミュービームラインにて,パルスレーザーを用いたミューオニウムの1S-2S遷移分光実験を行い,先行研究より約60倍強い信号レートで1S-2S遷移スペクトルの観測に成功した.また,先行研究では信号レート不足により観測が困難だった1S-2S遷移の別超微細構造間を世界で初めて観測した.
ミューオニウム1S-2S遷移のレーザー分光によるミューオニウムに関わる基礎物理定数の精密測定は,素粒子標準理論の検証,また標準理論を超える新たな物理の探査にもつながる.また,Yb添加ファイバ光増幅器は高出力かつ高品質な空間モードが実現可能なため,その開発のノウハウを得ることは今後のレーザー実験の光源開発につながる.
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