研究課題/領域番号 |
21K13952
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 (2023) 国立研究開発法人理化学研究所 (2021-2022) |
研究代表者 |
山我 拓巳 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (80830306)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | K中間子 / 原子核 / KN相互作用 / 反K中間子原子核 / 中性子検出器 / 陽子ポラリメータ / 陽子偏極率測定器 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで反K中間子のような「メソン」という粒子グループに属する粒子は、現れては消えるを繰り返す「仮想粒子」としてのみ物質中に存在すると考えられてきた。しかし近年の研究で反K中間子と2つの陽子が結合した「K-pp」の存在が実験的に確かめれ、メソンが実粒子として物質を構成する新しい原子核状態「反K中間子原子核」の理解が大きく進んでいる。本研究では、K-ppの性質についてより詳細に調べるべく、中性子検出能と陽子偏極率測定能を併せ持つ検出器の開発を行う。
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研究成果の概要 |
本研究では、荷電中性のKbarNN状態が崩壊する事象を捕らえるための中性子検出器と、スピン相関測定のための陽子偏極測定器が一体となった検出器の開発を行った。本研究で行った試作機制作とビーム照射実験から、トラッキング層にストローチューブ検出器を用いることとし、検出器の大まかな構成を決定した。また、偽中性子ヒットにより作られる背景事象の効率的な排除を行うためのアルゴリズムを開発した。本手法を既存データに適用することで、KbarNNの崩壊分岐比を求め、結果を論文として報告した。(Physical Review Cに掲載予定。)
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で決定した検出器を用いることで、反K中間子原子核の内部構造を解明するための実験を行う。これにより、中間子を構成要素として持つ新しい原子核状態の謎や、中間子質量の起源のようなハドロン物理の長年の謎の解明に迫ることができると期待される。 また、本研究でまとめた論文では、世界で初めてKbarNN束縛状態の中間子崩壊の崩壊分岐ひを報告した。中間子崩壊は、Λ(1405)などのハイペロン励起状態の寄与などを調べたり、理論と直接比較することで、KbarNNの内部構造に関する情報を引き出せる重要なチャンネルである。したがって、本研究で得られた結果により今後理論的研究が進展するものと期待できる。
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