研究課題/領域番号 |
21K13964
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
澤田 涼 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (50887908)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 超新星爆発 / 元素合成 / 連星進化 / 原始太陽系円盤 / 超新星 / 重力崩壊型超新星爆発 / 爆発的元素合成 |
研究開始時の研究の概要 |
重力崩壊型超新星爆発(以下、超新星)とは、数多くの天体現象の謎を解き明かすカギを握っている。例えば超新星は、中性子星や恒星質量ブラックホールの形成過程そのものであり、爆発時に起こる元素合成は宇宙の重元素の起源である。つまり銀河の進化を正しく理解するためには「どのような星が宇宙にどのような元素をばらまき、どのようなコンパクト天体を残すのか?」、超新星の多様性を正しく理解することが欠かせない。 そこで本研究の大目標は、超新星の爆発後に起こるフォールバック降着の定量化を通して、近年さらに多様性を増す超新星の統一描像の構築を試みることである。
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研究実績の概要 |
重力崩壊型超新星爆発(以下、超新星)は、数多くの天体現象・宇宙物理の謎を解き明かす鍵を握っている。例えば超新星は、中性子星や恒星質量ブラックホールの形成過程そのものであり、銀河の力学進化を駆動する。さらに近年、全天サーベイと即時観測の発達により、標準的な超新星シナリオでは説明困難な“標準外の超新星”の観測例が増えている。さらには標準的な超新星のなかでも、従来の理解に比べて幅広い多様性が存在することが報告されはじめている。つまり、銀河の化学進化・力学進化を正しく理解するためには「どのような星が、どんな超新星爆発を起こすのか?」、その多様性を理解することが欠かせない。
以下に2023年度の実績を2つ特筆する。 1)近年の観測によると、超新星爆発は爆発直前に急激な質量放出を経験していることが明らかになった。この質量放出メカニズムの理解は爆発機構解明に直結する他方、いまだ明らかになっていない。我々は、連星進化による相互作用がこの質量放出に関わるかを理論的に調査した。本結果は自身が共著者の論文として国際査読誌(The Astrophysical Journal) にて発表されている(Matsuoka & Sawada, ApJ 2024)。 2)超新星爆発自体の研究に閉じず、最終年度では、超新星爆発が我々の初期太陽系に及ぼす影響についても研究を行った。本研究では初期太陽系に存在したとされる短寿命核種の起源について、近傍超新星から注入された可能性を検討した。本研究の結果は、太陽系の起源に繋がるのみならず、本科研費課題としている爆発機構にも繋がる成果となった。本結果は自身が主著者の論文として国際査読誌(The Astrophysical Journal) にて発表されている(Sawada et al., ApJ 2024)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
論文2報(Matsuoka, Sawada ApJ 2024;Sawada et al., ApJ 2024)の受理実績から、極めて順調に進展しているという判断が妥当と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要でも掲げた本研究の大目標に向けて、更なる“標準外の超新星”の爆発機構制約を試みる。具体的に、Sawada et al. ApJ 2024 の結果から、超新星内部で起こるfallback が光度曲線へ大きく寄与することが分かった。そして同時に、 fallback の物理が爆発機構の制約に重要な役割を果たす可能性が浮上してきた。今後この考察を深め、超新星内部の fallback の物理に関する新たな研究展開を遂行する予定である。その結果を論文にまとめるまでも目標の一つに加えたい。
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