研究課題/領域番号 |
21K13979
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 東北大学 (2022-2023) 名古屋大学 (2021) |
研究代表者 |
北原 理弘 東北大学, 理学研究科, 客員研究者 (30805487)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 波動粒子相互作用 / 粒子加速 / プラズマ波動 / ピッチ角散乱 / 宇宙プラズマ / 地球放射線帯 / ピッチ各散乱 |
研究開始時の研究の概要 |
我々はこれまでに、宇宙空間に普遍的なコーラス波と呼ばれるプラズマ波動と低ピッチ角の電子との相互作用に着目し、電子散乱に関する新しい理論を考案した。本研究では、あらせ衛星の超高時間分解能観測データや大規模計算によるシミュレーションの結果を解析することで、この新理論の影響範囲を詳細に探求すると同時に、宇宙空間プラズマおよび脈動オーロラの降り込み電子に低ピッチ角電子がどのような影響を及ぼすのかを定量的に評価する。どのエネルギー帯の電子が、どの周波数の波動と、どの程度相互作用するかという問を、理論、観測、シミュレーションの3つの異なる方法によって、多角的かつ相補的に解明する。
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研究実績の概要 |
我々はこれまでに、宇宙空間に普遍的なプラズマ波動の一種であるホイッスラーモード波動と低ピッチ角の電子との相互作用に着目し、電子散乱に関する新しい理論を考案してきた。この新しい電子の散乱理論を実証することを目的として、我々は新理論に対するパラメータ依存性の検討、宇宙空間における人工衛星のプラズマ粒子およびプラズマ波動の観測データを用いた解析、高精度解法を用いたの大規模シミュレーションによる再現実験、の3つの異なる研究課題に対して研究を進めてきた。従来の我々の理論は低ピッチ角の共鳴電子のみに限定して電子の運動を予測するものであったが、ハミルトン力学の解析手法を適用することにより、幅広いエネルギー・ピッチ角の粒子に対して電子の運動を予測する理論が構築できた。構築された理論はホイッスラーモード波動と電子の相互作用のみならず、陽イオン及び電磁イオンサイクロトロン波動との相互作用におけるパラメータに対しても適用可能であることが判明してきた。宇宙空間において観測される電磁イオンサイクロトロン波動は、波動振幅強度が背景磁場強度に対して数から数十パーセントとプラズマ波動現象としては比較的大きいため、陽イオン=電磁イオンサイクロトロン波動相互作用における当該理論の効果・影響が電子=ホイッスラーモード波動相互作用よりも大きくなることがわかってきた。今後は観測パラメータをもとに、我々の散乱理論の詳細な効果・影響を詳らかにするとともに、大規模シミュレーションによる再現実験に向けたコード開発についても進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度において所属研究機関における研究代表者の身分変更に伴い、当初の研究計画に遅れが生じている。具体的には、ホイッスラーモード波動と電子の相互作用の理論構築については概ね順調に進んでいるが、より一般の波動現象において我々の理論が適用可能であることを実証していく研究(陽イオン及び電磁イオンサイクロトロン波動との相互作用におけるパラメータにおける理論検証および数値実験についての研究)において進捗が遅れている。また3つめの研究課題として掲げた大規模シミュレーションに向けたコード開発についても着手が遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
今までに実施してきた理論研究の進展によって我々の提案してきたプラズマ波動による低ピッチ角の異常散乱現象は、一般的なプラズマ波動による粒子散乱理論の再構築により包括的に解釈可能であることが明らかとなってきた。今後は低エネルギー電子とホイッスラーモード波動の波動粒子相互作用だでなく、陽イオン及び電磁イオンサイクロトロン波動との相互作用におけるパラメータにおける理論検証および数値実験について研究を進めていく。また大規模シミュレーションに向けたコード開発についても並行して進め、波動粒子相互作用の包括的な理解に向けて研究をすすめていく。
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