研究課題/領域番号 |
21K13983
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 東京大学 (2023) 国立天文台 (2021-2022) |
研究代表者 |
瀧 哲朗 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (20898267)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 数値流体力学 / 惑星系形成 / 原始惑星系円盤 / ダスト |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では星の周りに存在するガス円盤(原始惑星系円盤)の内部での固体物質(ダスト)の鉛直方向分布の様子を調べる. 原始惑星系円盤の内部でダストがどのような姿で存在し,どのように進化していくのか?というのは惑星系形成理論における中心的な興味のひとつである.近年,観測及び数値シミュレーションの進展によって,原始惑星系円盤の描像は従来と大きく変わりつつある.しかし,その一方でダスト層の鉛直構造に対する理解はここ10年ほど停滞しており,両者には乖離が見られるのが実情である. 本研究では円盤内部でのダストダイナミクスの第一原理的な計算からこの問題に切り込み,新しい円盤進化・惑星形成の描像の確立を目指す.
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研究実績の概要 |
惑星系形成とは原始惑星系円盤の内部で進行する固体物質(ダスト)のサイズ進化過程であると考えることができる.そのため「原始惑星系円盤内部でダストがどのように分布しているのか」というのは惑星系の形成過程を考える上で鍵となる情報である.ALMAをはじめとする近年の大型電波干渉計技術の進展により,我々は10年前に比べると遥かに高解像度のダスト分布を知ることができるようになってきた. さて,ここで言う「分布」とは「空間的な分布」のことを指しているが,これは言うまでもなく空間3次元の情報である.しかしながら,どのような撮像観測であっても得られる情報は本質的に2次元である.それゆえ,いかに優れた観測結果であっても真のダスト空間分布を知るためには失われた1次元分の情報をモデルによって補う必要がある. 原始惑星系「円盤」はその名の通り第ゼロ近似では2次元的な比較的薄い構造であるため,特に「厚み」方向,すなわち円盤鉛直方向の情報を観測から直接得ることは難しい.しかしダストのサイズ進化に直接関わってくるのは鉛直方向に積分されたダスト密度ではなくダストの局所的な空間密度であるため,この鉛直方向分布の情報は惑星系形成過程において本質的に重要となる. しかしながら,実は現在広く用いられているダスト空間分布の理論計算手法には,いくつかの(致命的な)問題点が存在することが知られている.本研究では,現状の理論モデルの問題点の存在を改めて整理・指摘し,それらを解決するための新しい計算手法を提案することを目指している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度までに取り組んでいた粒子ベースの計算手法から大きく方針を転換し,より応用の幅が広いと見込まれる,格子ベースの数値流体力学計算で使用可能なサブグリッドモデルの開発に着手した.今年度の研究を通して,従来モデルの問題点を整理・指摘するとともに,我々のモデルが目指す "ダスト分布計算のあるべき姿" を明確に定義し,その定式化にほぼ成功した. ただし研究手法の大幅な方針転換が生じたために全体としては計画は遅延気味であると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究によって全く新しく,かつ有用なダスト分布計算モデルの定式化がほぼ完了した.今後はこのモデルを実際の数値流体計算コードに実装し,従来モデルの結果との比較を精密に行う.結果の比較を通して,我々のモデルの意義が明らかになると期待されるので,その成果を年度内に論文化して出版する計画である.
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