研究課題/領域番号 |
21K13996
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
雨宮 新 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 特別研究員 (60839182)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | データ同化 / 確率予報 / 気象予測 / アンサンブル予報 / ビッグデータ |
研究開始時の研究の概要 |
局所的な短時間降水予報において、従来の単一の予報の代わりに、観測ビッグデータと数値気象予報モデルによるアンサンブル予報が近い将来に実用化されることが期待されている。本研究では、アンサンブル予報によって得られる将来の状態に関する確率的情報を効果的に抽出し表現する方法を新たに開拓する。特に、降水予報の時空間スケールにおける現象の遷移の確率的特徴を踏まえて、効率的なクラスター解析とその可視化の手法を開発する。また、確率予報の観点で適切なアンサンブル予報の初期値を作成するためのデータ同化手法とも関連付け、アンサンブル予報システム全体の設計を改善する。
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研究実績の概要 |
2022年度は小課題4のクラスター解析と関連づけたアンサンブルデータ同化手法の開発を進めた。対流性降水のような現象では系の時間発展における非線形性により背景誤差分布がガウス分布と大きく異なるため、ガウス分布を前提としたカルマンフィルタの理論に基づくデータ同化手法が非効率となることがありうる。そこで、局所数値天気予報モデルSCALE-RMにおいて既存の局所アンサンブル変換カルマンフィルタ(LETKF)の代わりに、系の背景誤差分布がガウス分布と大きく異なる場合に有力となる局所粒子フィルタ(LPF)をLETKFを拡張する形で実装した。LPFのリサンプリングにおけるランダムな粒子の選択に伴う空間的な非整合の問題に対応するため、同化に用いる変換行列を全格子点で計算する代わりに、空間的に粗視化した格子点で計算し補間する手法を導入した。また、LPFとLETKFを併用することで背景誤差の混合ガウス分布を想定した同化手法も可能にした。傾圧不安定を模した理想実験において、動作の確認及び計算性能の比較を行い、比較的小さなメンバー数においてもLPFが安定して動作し、LETKFに比べて性能で大きく下回らないことを確認した。また、アンサンブル数に対する計算時間の依存性を比較し、アンサンブル数が大きくなると理論通りLPFがLETKFより計算効率で上回ることを確かめた。以上により、大アンサンブルを用いて対流性降水の理想実験を行う準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小課題4のデータ同化に関する課題において、非ガウス的な確率分布に対応したデータ同化手法の開発に関しては概ね当初の計画通り遂行したが、主目的である対流スケールの降水現象における性能評価は未着手である。また、当初の計画とは異なり小課題2、 4の順序で研究を行ってきたが、小課題1の実際の観測データに基づいた系の確率的時間発展の性質の調査が残っている。今後、適切な数値実験を計画して研究を深化させるためには、この小課題1で得られる基礎的な知見が必要不可欠である。
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今後の研究の推進方策 |
小課題4のデータ同化手法の開発に関する成果を一つの論文にまとめて報告する。その上で、小課題1の対流性降水現象の確率的な時間発展の特徴づけに取り組む。長期間の観測データを用いて、目的とする現象自体の性質について理解を深め、それに基づき今後の数値モデルや解析手法を用いた数値実験の計画を再構築する。
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