研究課題/領域番号 |
21K13998
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17030:地球人間圏科学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
井村 匠 山形大学, 理学部, 助教 (20878524)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 火山性流体 / 流体供給路 / 地質学的不整合 / 火山層序 / 水蒸気噴火 / マグマ水蒸気噴火 / 熱水変質 / 火山熱水系 / 火山地質 / 鉱物学 |
研究開始時の研究の概要 |
山体内部に発達する火山熱水系は,発生頻度が高く突発的な水蒸気噴火およびマグマ水蒸気噴火の発生場となるが,その物質科学的特性や時空間変化は未詳である.そこで,噴火発生場となる火山熱水系の物質科学的進化過程を明らかにすることを目的として,最近数千年間で水蒸気噴火,マグマ水蒸気噴火,マグマ噴火をそれぞれ異なる頻度で繰り返す,蔵王火山,吾妻火山,安達太良火山について地質・岩石・鉱物学的調査を実施する. 本研究により,マグマ―熱水の両方の物質科学に立脚した革新的な中~長期火発生予測モデル構築を実現を目指す.
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研究実績の概要 |
2022年度では蔵王火山,吾妻火山の各事例研究を進めた. まず,蔵王火山について,山腹部の丸山沢噴気地熱地帯と山頂御釜火口との活動連動性を検証した.その結果,同地熱噴気地帯直下には最初期の蔵王火山噴出物と基盤岩類の不整合に接する大構造が存在し,この構造を用いて火山性流体が上昇した結果として,上記の噴気地熱地帯が形成されていることが判明した.また同噴気地熱地帯に由来する砕屑性堆積物を新たに認識し,その直下の土壌の放射性炭素年代が13世紀中期を示すことから,同噴気地熱地帯は御釜火口の活動活発期に連動して形成された可能性がある.以上より,上記の大構造は数百年間に渡り火山性流体を地表へと供給していることが確定的であり,課題(1)-(3)に著しく貢献しうる成果であったため,一連の検証結果を国際誌Journal of Volcanology and Geothermal Researchにて公表した.蔵王については1895年噴火,2000-4000年前の噴火期による噴出物の解析も進めている. 次に,吾妻火山では,露頭調査および別プロジェクトによるトレンチ掘削,ボーリング掘削を並行して進めた.これにより,1331年鎌倉噴火以降の噴火履歴調査が著しく進展し,従来提唱されていた噴火回数,噴火様式の繰り返しパターンを大幅に改訂する必要が生じた.本成果は,本研究最終年度のうちに学術雑誌にて公表予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
蔵王火山丸山沢噴気地熱地帯における一連の研究成果を国際学術雑誌にて公表できたこと,吾妻火山の歴史時代における噴火履歴調査が著しく進んだこと,以上を考慮し「おおむね順調に進展している。」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度より,対象とした三火山での成果を精査し,以前から研究を進めていた北海道十勝岳,木曽御嶽山の事例も踏まえて,活火山における統合的な熱水系発達モデルを構築に向けて検討,検証を進める.これに基づき,対象とした3火山において水蒸気・マグマ水蒸気噴火・マグマ噴火のうち,いずれが支配的かを考慮することで,中~長期火発生予測を試験的に行う.
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