研究課題/領域番号 |
21K14003
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17030:地球人間圏科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
中村 淳路 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (60817419)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 宇宙線生成核種 / 10Be,26Al / 生成率 / 年代測定 / 表面照射年代 / 地球磁場 / 岩石なだれ / 10Be / 26Al |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙線生成核種(10Be、26Al)を用いた年代測定法は、氷河の消長復元などの古気候学の研究や地形学の研究において幅広く利用されている。この年代測定法では、1年間あたりに岩石中で生じる10Beや26Alの量、つまり10Beや26Alの生成率が年代換算を左右する重要なパラメータである。しかし、これまでの研究では、年代換算の際に組み込む地球磁場の変動に伴う生成率の変化について、十分な実測データがなかった。そこで本研究は、年代が独立的に明らかにされている巨礫中の宇宙線生成核種(10Be、26Al)を測定し、10Beおよび26Alの生成率を決定することで、年代換算に用いる地球磁場モデルを制約する。
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研究実績の概要 |
古気候学や地形学を中心とする研究分野において,宇宙線生成核種(10Be,26Al)を用いた年代測定法が幅広く利用されるようになった.この年代測定法は,地球磁場変動に伴う核種の生成率変化の取り扱いについて,発展の余地がある.そこで過去の地球磁場変動をどのように年代換算の際のモデルに組み込むかという点について,近年,盛んに議論が重ねられている.しかしこれまでの研究では,特に若い年代の範囲において,核種の生成率の実測データが不足しており,年代換算のモデルの妥当性の検証が不十分であった. 二年目である2022年度は,これまで複数提案されている地球磁場モデルについて,核種生成率の変化履歴の数値シミュレーションを行った.その結果,磁場モデルによって非双極子成分の寄与が異なり,年代の換算に影響を与えることが明らかになった.特に年代が若い完新世の試料では,地球磁場モデルの選択によって年代換算結果の差異が大きい.また過去数千年間,東アジア域は他地域よりも核種生成率が小さく,年代換算モデルの妥当性の検証に適した地域であることが示された. 分析の前処理方法については,引き続き目的元素の収率について検証した.これは目的元素の単離の程度が良いほど,加速器質量分析において高い電流値が得られ,分析精度が向上するためである.陽イオン交換を行う際の酸溶液を希硫酸とし,チタンの呈色反応を利用することで,目的外元素の分離が容易になった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで複数提案されている地球磁場モデルについて,核種生成率の変化履歴の数値シミュレーションを進めた.その結果,特に地球磁場の非双極子成分の寄与の差異について,年代換算の際に組み込む地球磁場モデルを制約するために必要な知見が得られた.また引き続き分析の前処理方法について,改良を進めた.
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今後の研究の推進方策 |
これまで地球磁場モデルは複数提案されている.しかし各地の古地磁気データのコンパイルの際,堆積物試料,火山岩試料,考古学的試料の重視の程度の違いから,非双極子成分の寄与に地域差がある.これまで発表されている既存の生成率実測サイトのデータを含め,宇宙線生成核種の生成率の実測値から,年代換算に用いる地球磁場モデルを制約し,年代換算法を構築する.
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