研究課題/領域番号 |
21K14025
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
渡邉 友浩 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (80731968)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 生命進化 / 微生物 / エネルギー代謝 / 亜硫酸 / 硫黄酸化 / ヘテロジスルフィド還元酵素 / トランスクリプトーム / スルファン硫黄 / 硫黄酸化菌 / リポ酸 |
研究開始時の研究の概要 |
ある種の硫黄酸化菌の亜硫酸生成反応に、未知の酵素が関与するという仮説を提案する。本酵素は、祖先的なエネルギー代謝の進化を理解する上で本質的に重要だと考えられる。本研究では、この未知酵素を情報生物学と生化学を駆使して研究する。比較ゲノムおよびトランスクリプトーム解析によって候補遺伝子を絞り込み、酵素反応仮説を硫黄酸化菌の細胞粗酵素液や組み換えタンパク質を用いて検証する。
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研究成果の概要 |
初期の地球生命のエネルギー代謝には、亜硫酸が関与していた可能性がある。近年、一部の硫黄酸化菌において、ヘテロジスルフィド還元酵素様の酵素複合体(以下、sHdr)と正体不明の酵素が、異化的な亜硫酸合成反応を推進する可能性が提案された。本研究では、この未知酵素の正体を検討した。Sulfuricellaceae科の8種の硫黄酸化菌をモデルとして、ゲノムとトランスクリプトームを比較した結果、亜硫酸合成を推進する未知酵素の存在は否定された。したがって、sHdrは未知のメカニズムによって亜硫酸合成反応を推進する可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究以前は、ヘテロジスルフィド還元酵素様の酵素複合体(sHdr)が単独で亜硫酸を合成することは難しいと考えられており、sHdrと一緒に反応を推進する未知酵素の存在を予想した。しかし本研究の結果は未知酵素の存在を否定した。このことは、sHdrが単独で亜硫酸合成反応を推進する可能性を支持しており、この反応メカニズムは既知の酵素反応では説明できない、すなわち新たな亜硫酸合成反応メカニズムの存在を示唆する。sHdrによる未知の亜硫酸合成反応を証明してその進化起源を解明することで、亜硫酸を用いるエネルギー代謝の起源および祖先的な微生物エネルギー代謝の理解が大きく前進する。
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