研究課題/領域番号 |
21K14042
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
新里 秀平 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (10853202)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | ナノ構造材料 / 原子モデリング / 粒界拡散 / 温度勾配 / 界面拡散 |
研究開始時の研究の概要 |
固体材料においても流体と同じように温度勾配を駆動力とした拡散が起こることは知られているものの,従来のマクロスケール材料においてその影響は無視できるほど小さいものであるとされてきた.しかしながら,材料の寸法スケールをナノスケールまで小さくしたとき,表面や結晶粒界といった界面における原子の拡散が従来の材料と比べて変形に大きく寄与することが明らかになっている.本研究では原子モデリング手法を用いて温度勾配を持つナノ構造材料の界面での原子拡散挙動と,それに伴う変形メカニズムの詳細の原子論的解明を目指す.
|
研究実績の概要 |
固体材料においても流体と同じように温度勾配を駆動力とした拡散が起こることは知られているものの、従来のマクロスケール材料においてその影響は無視できるほど小さいものであるとされてきた。しかしながら、材料の寸法スケールをナノスケールまで小さくしたとき、表面や結晶粒界といった界面における原子の拡散が従来の材料と比べて変形に大きく寄与することが明らかになっている。本研究課題では原子モデリング手法を用いて温度勾配を持つナノ構造材料の界面での原子拡散挙動と、それに伴う変形メカニズムの詳細の原子論的解明を目指す。 令和5年度は温度勾配下における結晶粒界面内の原子拡散プロセスの解析を実施した。対称傾角粒界を持つ双結晶モデルに対して、粒界面に沿った温度勾配を与えた分子動力学計算を実施し、原子の拡散プロセスおよび温度勾配により作用する駆動力の測定を実施した。各時刻におけるモデル中の原子の位置を追跡することにより、原子が粒界に沿って高速に拡散し、特に高温側から低温側へと優先的に移動することが確認できた。さらに、界面拡散駆動変形の予測モデル構築に向けて異なる温度勾配下において粒界原子に作用する力の時間平均を求めることにより温度勾配により生じる駆動力とその温度および温度勾配依存性を求めた。しかしながら、温度勾配依存性について統一的な解釈が可能な傾向は見られなかったため、駆動力の測定方法および計算モデル・条件についてはさらなる検討が必要であると考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題では、(a)温度勾配により駆動される表面拡散プロセスの解析、(b)結晶粒界面における原子拡散プロセスの解析、(c)界面拡散駆動変形の予測モデルの構築の3つの課題に取り組むことで、温度勾配下での材料変形プロセスの原子論的解明とその予測を行うことを目的としている。最終年度である令和5年度は(b)結晶粒界面における原子拡散プロセスの解析を実施し、粒界における温度勾配下の原子拡散のダイナミクスを分子動力学法により調査した。しかしながら、(c)界面拡散駆動変形の予測モデル構築に必要となる温度勾配による原子拡散駆動力の測定には駆動力の測定方法または計算モデルの再検討が必要であることが明らかとなり、実施項目(b)の完遂および(c)の実施ができなかったため、当初の予定より遅れていると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度は(b)結晶粒界面における原子拡散プロセスの解析に取り組んできたが、現在までの進捗状況で述べた通り当初の計画より遅れていると考える。特に駆動力の測定方法については再検討および手法の妥当性の検証が必要であるため、事業期間の延長を申請した。延長期間中は熱平衡状態における自由エネルギー計算に用いられる熱力学的積分法を応用した駆動力測定の実施とその有効性の検討を実施する予定である。また、温度勾配に限らずポテンシャル勾配下で作用する駆動力の測定方法とそれらの原子シミュレーションへの適用方法に関する知見の収集し、より適した駆動力測定方法の提案についても検討する。
|