研究課題/領域番号 |
21K14065
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
田所 千治 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00736770)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | トライボロジー / 潤滑油 / 添加剤 / 自己組織化 / 表面テクスチャ / 摩擦 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、異種添加剤を用いることで反応膜と吸着膜からなる複合ナノテクスチャを自律的に形成させ、低速度・高荷重下においても低摩擦性を維持可能な潤滑システムの創成を目指す。膜厚分布計測法により、高温摩擦下において反応膜が自律的に形成する条件を調べるとともに、複合ナノテクスチャの形成手法を確立する。また、複合ナノテクスチャによる摩擦低減効果を実証し、優れた効果を発現する添加剤の組合せ条件を提示する。
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研究実績の概要 |
機械システムの可動部では摩擦損失を低減させるために潤滑油が用いられている。潤滑油は、主成分である基油と極微少量(0.1%程度)の添加剤から成る。潤滑油が摩擦損失を低減させるのは、摩擦面に潤滑膜を形成させて金属同士の接触を妨げるためである。潤滑膜には、基油が流体力学的に作用して形成させる流体膜と、添加剤が金属表面に優先的に吸着して自発的に形成させる自己組織化膜がある。また、自己組織化膜には、添加剤分子がそのまま吸着して形成される吸着膜と、添加剤分子が化学反応して形成される反応膜とがある。本研究では、異なる2種類の添加剤を用いることで反応膜と吸着膜からなる複合ナノテクスチャを自律的に形成させ、低速度・高荷重下においても低摩擦性を維持可能な潤滑システムの創成を目的としている。 研究2年目である本年度では、初年度に構築した高温(100 ℃)下において摩擦係数および膜厚分布を計測可能な摩擦試験環境を用いて、反応膜の形成プロセスを調査し、反応膜の形成を促進させる条件を見出した。吸着膜を形成させるモデル添加剤には脂肪酸、反応膜を形成させるモデル添加剤にはZnDTP(ジアルキルジチオリン酸亜鉛)を用いた。同じ炭素数の脂肪酸でも、脂肪酸分子の化学構造の違いにより、吸着膜の形成膜厚やその温度依存性には差があることがわかった。また、ZnDTPを用いた場合では、すべり摩擦下においてナノメートルスケールの凹凸状に反応膜(ナノテクスチャ)を形成させることがわかった。反応膜の平均膜厚はすべり摩擦の速度条件に対して極大を示し、膜形成に適した条件があることを見出した。また、反応膜の膜形成は、環境温度にも影響を受け、形成された反応膜が表面から脱離し難い温度条件を見出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種添加剤を用いて潤滑膜形成に対する実験条件(添加剤分子化学構造、温度条件、速度条件)の影響を調査により明らかにした。これにより、本研究は概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
単成分添加剤による潤滑膜形成を調査した後、複数添加剤による潤滑膜形成について調査を進める。また、ナノテクスチャと基油との相互作用について調査する。
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