研究課題/領域番号 |
21K14074
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高牟禮 光太郎 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (80847335)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | エアカーテン / NACA翼 / 切断翼 / カムテール / コーダトロンカ / ポテンシャルコア / ブースト効果 / 直接数値計算 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,空気壁の効果が長距離にわたって持続するエアカーテンを開発することである.一般的なエアカーテンは,ノズルから空気が吹き出した直後からカーテン気流は大きく拡散するため,空気壁の効果が急激に弱まる.この問題を解決するため,本研究ではダクトの内部に,後縁が切断された形状の翼(切断翼)を挿入する.これにより,切断翼に沿って流れる気流は,翼の後方で流れが合流するという特性(カムテールの空力特性)を活用でき,エアカーテンの拡散を効果的に抑制できることが期待される.本研究では,実験と数値シミュレーションを用いて,エアカーテンをより長距離にわたって持続させるための翼形状を明らかにする.
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研究実績の概要 |
本年度の前半では,スモークワイヤ法を用いて切断翼周りの流れの可視化を行った.昨年度に実施した熱線流速計の計測実験で流れのブースト効果が観測された位置において,気流が合流していることが明らかとなった.また,切断翼の切断位置および翼厚を変えることにより,流れの合流位置を制御できることが明らかとなった. 流れのシミュレーションでは,昨年度に実施した吐出口のみの場合に加え,吐出口と吸込口の両方を備えたエアカーテンの気流特性を調査した.切断翼を搭載しないエアカーテンにおいて,吐出口と吸込口の両方を備えることで,吸込口に気流が誘導され,エアカーテン気流の拡散を抑制できることが明らかとなった.これにより,吸込口無しの場合と比べ,ポテンシャルコア長を最大で1.5倍延伸できることが明らかとなった.さらに,吸込口近傍において,拡散した気流を再び整流する効果が見られた.吸込口を備えたエアカーテンに切断翼を搭載することで,切断翼無しの場合よりもポテンシャルコアをさらに延伸することができた.さらに,切断翼後流で発生する気流のブースト効果により,気流は吸込口まで加速した状態を維持することが明らかとなった. 本年度の後半では,粒子画像流速測定(PIV)法を用いた流れの定量評価を実施した.切断翼後流において,実験とシミュレーションで結果がよく一致した.一方で,切断翼近傍では翼表面でレーザーが反射し,測定精度に疑義が生じる結果となった.レーザシート光に沿って,反射防止シートを張ったが,シートの凹凸が流れに影響を及ぼしている可能性があるため,結果として反射を抑える材料で切断翼を再製作するに至った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,スモークワイヤ法を用いることで,切断翼後流における流れの合流位置を可視化することができた.これにより,流れのブースト効果が発現する位置を明らかにすることができた.さらに,切断翼の切断位置及び翼厚を変えることで,流れの合流位置を制御できることを明らかにした. 一方で,PIV計測においては,精度よく測定するためには切断翼の再製作が必要であることが分かった.以上より,研究はおおむね順調に進展しているが,実験装置については課題も明らかとなった.
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今後の研究の推進方策 |
切断翼を再製作した後に,PIV計測を実施し翼近傍の流れの特性を明らかにする.これにより,翼周りおよび翼後流の気流特性を定量的に評価する.このようにして,最適な切断翼の形状をを明らかにする. 上記の研究によって決定した翼形状を用いて,飛沫の遮断効果をシミュレーションおよび実験により検証する.シミュレーションでは,5-30ミクロンの粒子を含む疑似呼気をエアカーテンに向けて垂直に吹きかけた時の粒子の挙動を調査する.また同様の条件で実験を行うことにより,シミュレーションの結果を補完する.飛沫の速度分布は粒子画像流速測定法により計測する.
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