研究課題/領域番号 |
21K14081
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 函館工業高等専門学校 |
研究代表者 |
藤原 亮 函館工業高等専門学校, 生産システム工学科, 准教授 (70791375)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 海洋発電 / 機械学習 / 深層学習 / 変分オートエンコーダ / 海洋発電機 / 最適設計 |
研究開始時の研究の概要 |
潮海流発電において効率的にエネルギを回収するため,人間社会の利益となる物理量を最大化し,不利益となる物理量を最小化する性能を実現する設計(最適設計)を機械学習により行う.最適設計を行うため,流体・機械・電気要素等の幾多もの設計値間の多変量解析を行う必要がある.従来の多変量解析手法では,計算時間が膨大となる,発電機の形状や流況により数理モデルが恣意的になる,他海域におけるエネルギ回収へ応用可能な知見が得られるとは限らない等の問題点がある.本研究課題ではこれらの問題点を解決するため,機械学習により流速場等の実験データを学習させ海洋発電機の最適設計値を推定する.
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研究実績の概要 |
海洋発電機まわりの流速場を観測するため,専用の実験用水槽を構築した.従来の2次元スリット状水槽とは異なり,3次元的に流速場を観測可能となる.流速場の観測はPIV法を用いる.すなわち,直方体状の水槽の上および横からスリット状のレーザーを照射し,流体内に散布した粒子の動きを撮影時間を同期させた2台の高速度カメラで観測する.2台の高速度カメラで観測した1組の動画データから,3次元的に流速場を捉えることができる.以上の3次元的流速場測定実験を行うための基盤を構築することができた.
実験用水槽の構築と同時に,海洋発電機の設計値から流速場を生成する(流速場を予測する)手法を構築した.変分オートエンコーダ(Variational Autoencoder)により海洋発電機の設計値データから流速場データを生成した.既に得られた2次元スリット状水槽の流速場の観測結果と,海洋発電機のミニチュアモデルの設計値を,深層学習ライブラリkerasで扱えるようにデータ化した.データ化の際は,多数の量を一度に扱えるようにテンソルという数値が多次元に羅列してある形式に落とし込んだ.テンソル化された設計値データから,潜在空間という低次元データに変換(デコード)し,この潜在空間上の低次元データから流速場データを復元(エンコード)する.多数の設計値と流速場のデータセットの関係を学習することにより,デコードとエンコードを適切に行うことが可能となる.以上の手法により,設計値から流速場の生成が可能となった.
他に,畳み込みニューラルネットワークによる学習結果から得られる,そのネットワークが反応した部分を示す活性化フィルタの解析を行った.すべてのネットワークのノードにおける活性化フィルタを画像化して確認し,ネットワークの反応に関する特徴を考察した.また,物体検出モデルによる自動的な流れ場の特徴抽出も行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に得られている2次元流速場データを活用することにより,流速場と設計値の関係を扱うための機械学習モデルをいくつか構築できている.流速場データ生成に関しては現在国際学会2023 8th International Conference on Green Energy Technologiesへの発表申請並びに論文投稿を行っている.現状では機械学習アーキテクチャにより予測された設計値で製作された海洋発電機の実験を行えていないが,3Dプリンタによるラピッドプロトタイピングにより可能となる見込みである.
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今後の研究の推進方策 |
3次元的流速場測定実験を行い,流速場データを得る.同時に,発電機内にタービンを設置し,発電と同時に流速場データを得ることも試みる.この際,実験では流速場とともに発電に関するデータも取得する.
機械学習アーキテクチャでは,既に得られた流速場生成モデルの信頼性向上にあたるとともに,設計値から流速場,流速場から発電機性能を予測するアーキテクチャの構築と実機実証実験を行う.
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