研究課題/領域番号 |
21K14099
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 八戸工業高等専門学校 |
研究代表者 |
古川 琢磨 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80818518)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 線形成長 / 自然対流 / 境界層可視化計測 / T-S波 / 線形安定理論 / 境界層方程式 / 安定曲線 / 光干渉計 / 乱流境界層 |
研究開始時の研究の概要 |
大規模系で生じる自然対流は長期運用・省エネルギー性を重視したアプリケーションに用いられ,アプリケーションの効率利用には境界層制御が不可欠である.本研究では粘性型不安定の自然対流境界層に着目し,光干渉計による温度境界層測定,高精度三次元数値解析モデルの理論解析の結果を用いてふく射影響下の自然対流境界層の乱流遷移の制御可能性について言及する.
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研究実績の概要 |
本研究期間はふく射影響下の自然対流境界層の影響を評価するために,矩形キャビティ内部断熱壁の放射率制御時における温度境界層の変化を可視化計測した.可視化計測の結果,放射率が高くなる時付近の温度境界層をふく射場によって制御可能であることが示された.放射率が極めて低い場合と比較して,放射率が黒体に近くなる時その温度分布は2K程度変化することが明らかとなった.今回の実験では,断熱壁付近の熱漏洩が依然として大きく数値解析との定量的な一致を示すことができなかったが,放射率の違いによる温度境界層の変化特性を取得することに成功した.特に,ふく射影響下における自然対流境界層の空間発展議論はこれまでされておらず,本研究で初めて実験的に実証された.また本研究期間中はふく射性媒体中における自然対流境界層の遷移機構を議論するために,自然対流境界層そもそもの不安定メカニズムを特定するための数値実験を行った.本研究の研究期間中の文献調査の結果,自然対流境界層の不安定性は「対流不安定」,「粘性型不安定」,「変曲点」のいずれの不安定が支配的であるかは明らかとないっていないことが明らかとなった.そこで本研究では自然対流境界層の遷移領域中における線形成長性を議論するために,変動速度のみを導出する数値解析を行った.数値解析の結果,「変曲点」による不安定成長ではなく,「対流不安定」,「粘性不安定」による不安定成長が支配的である可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究期間中は,ふく射伝熱,特に放射率の影響によって自然対流境界層の温度境界層生成が異なることが実験によって示された.また研究開始当初は,鉛直平板に形成される自然対流境界層は「粘性型不安定」で成長すると示唆されていたが,本研究期間での数値実験によって「対流不安定」と「粘性型不安定」の両方によって線形成長することが示唆された.以上本期間中で得られた知見は,ふく射伝熱による温度境界層制御の方法の提案,境界層の不安定メカニズムの解明に一助となりうるため,本研究はおおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
現在,より大規模系での自然対流境界層の可視化計測を予定しており,Back Oriented Schlieren法による可視化計測プログラムの開発を目指している.本プログラムを用いて,自然対流境界層の遷移領域から乱流領域までの空間発展について議論する.実験では,加熱壁板の放射率を制御するためにアルミ箔に黒体スプレーを塗布する場合,しない場合の二パターンにわけて実験を行いふく影響の有無によってどのように境界層の安定性が変化するかを議論する.また,トリフルオロメタンガス注入によるガス実験も行い,ふく射性媒体影響下における境界層生成の差異について議論する.
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