研究課題/領域番号 |
21K14171
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
山崎 大志 創価大学, 理工学部, 研究員 (30822663)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | ファイバセンサ / リモートセンシング / 赤外分光 / プラズモニック |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はリアルタイムでの遠隔計測を目指したプラズモニック赤外分光ファイバセンサの開発を目的とする。具体的には、中赤外光を伝送するフッ化物ファイバ上にヘテロコア型の構造を備えることでファイバ上にATR光学配置を実現する。また、金属プラズモンアンテナによりファイバ界面で中赤外域における電場増強を促すことで中赤外域に吸収スペクトルに対するセンサ感度を向上させ、リモート・リアルタイム・高感度の赤外分光計測の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,リアルタイムでの遠隔計測を目指したプラズモニック赤外分光ファイバセンサの開発である。申請者は、中赤外光を伝搬するフッ化物光ファイバセンサに金属ナノ構造体を形成することで、リモート・リアルタイム・高感度の赤外分光計測を実現し、次世代の自然環境IoTセンサ・ネットワークに資する新たな技術を提案する。 2021年度は、中赤外光用に使われるガラス転移温度の低いInF3ファイバを用いて、ヘテロコア構造の形成を試みた。InF3ファイバは、通常の石英ファイバに比べてガラス転移温度が低く通常のアーク放電式のファイバ融着接続機では接続が難しいため、ファイバ同士を適切に軸合わせするメカニカルスプライス方式を採用した。ファイバ伝送路にはコア径/クラッド径=100μm/192μmのマルチモードInF3ファイバを、ヘテロコア部にはコア径/クラッド径=9μm/123μmのシングルモードInF3ファイバをそれぞれ採用した。ファイバ同士を適切に軸合わせするメカニカルスプライス高精度ファイバクリーバによる端面形成及びメカニカルスプライスによる光伝送に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
中赤外におけるファイバセンサを適切に設計するために、ファイバ界面へ入射される光の角度分布とヘテロコア部を通過する光信号強度を観察する必要がある。中赤外光用に使われるフッ化物光ファイバ(ZEBLANファイバ:ZrF4/BaF2/LaF3/AlF3/NaF、InF3ファイバ)は、通常の石英ファイバに比べてガラス転移温度が低く通常のアーク放電式のファイバ融着接続機では接続が難しいため、ファイバ同士を適切に軸合わせするメカニカルスプライスによるセンサ化を目指した。機械的強度が高いInF3を採用し、高精度ファイバクリーバによるファイバ切断を試みているが、切断面をきれいにするための切断条件が厳しく、2023年度中に目標を達成できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
【①ファイバセンサ設計・性能評価(続き)】切断条件を決定し、ヘテロコア部の挿入長によるファイバ界面へ入射される光の角度分布を観察するとともに、波長2.9~4.5μm帯における水分子の吸収線の観測を試みる。 【②金属プラズモンアンテナの形成・センサ性能評価】】金属ナノ構造の表面修飾によるファイバセンサ上でのSEIRAを実証するため、金ナノ粒子で表面修飾したファイバセンサの赤外吸収スペクトルを観察する。金ナノ粒子は、スパッタ成膜法やプラズマエッチングにより形成することもできるが、ファイバのような細径の円筒構造体の表面への形成が困難な場合は、金ナノ粒子溶液にファイバを浸漬することで表面修飾を図る。水と水の水素安定同位体である重水において、分子の振動に由来して異なる吸収波長(OH伸縮では2.9μm、OD伸縮は4μm近傍)をもつため、軽水(H2O)に重水(D2O)を微小量含めた液体試料を対象にセンサの波長スペクトルを計測し、重水の濃度に対する感度と検出精度を評価する。
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