研究課題/領域番号 |
21K14174
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
西村 龍太郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別技術専門職 (00828189)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | X線イメージング / 半導体検出器 / SOIPIX / 二次元検出器 / DAQ / 検出器 / データ収集システム / 10Gb Ethernet |
研究開始時の研究の概要 |
放射光における3次元X線CTイメージング実験のようなX線を用いた撮像は物体の内部構造を非破壊で知る有力な手段であるが、実施には高精細、大面積、高フレームレート撮像が必要となるため、これに対応するデータ収集システムの開発が必要となる。 そこで、Silicon-On-Insulator(SOI)技術を用いたセンサー・読出し回路が一体化されたモノリシック構造の二次元半導体X線検出器であるSOIピクセル検出器と、10Gb Ethernetをベースとした新たなデータ収集システムを組み合わせたX線イメージャーを開発し、高精細・大面積・高フレームレート撮像と柔軟なセットアップを両立した測定システムを開発する。
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研究実績の概要 |
本研究課題においては、二次元半導体検出器であるSOIピクセル検出器INTPIX4NAを用いたX線イメージャの開発を目指している。 このINTPIX4NAは17um正方画素を832×512ピクセル搭載した有効視野14×9mmの検出器であり、5-20keVの範囲のX線に対して高い解像特性を持つことから、申請者の所属するKEK放射光施設に置いても期待される検出器の一つである。放射光施設での利用が可能なX線イメージャの完成に向けて、本課題では高速読み出しに対応するデータ収集システム基板とINTPIX4NA検出器のX線イメージャ用基板を開発し、これらを統合したカメラパッケージの構築を進めている。 昨年度までの実施内容として、以下の項目を実施済みである。(1)10GbE対応データ収集基板を用いたX線イメージャの設計を進めた。(2)検出器制御に用いる10GbE対応データ収集基板について、動作検証を実施し、検証内容を基に一部改修・追加基板の開発を行った。(3)INTPIX4NAを1素子搭載した、真空容器内での冷却に対応するX線イメージャ用基板を開発した。(4)検出器基板・冷却容器の開発を行った。 以上を踏まえ、今年度に実施した研究実績は以下の通りである。 (1)開発した10GbE対応データ収集基板・INTPIX4NA検出器基板・冷却容器を用いた撮像試験を実施し、本検出器の特性が発揮される低強度のエネルギー領域5-20keVのX線を用いる光学系における有効性を確認した。(2)得られた試験結果を基にノイズ特性の改善、利便性の向上のための方策を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FPGA基板ベースの10GbE対応データ収集基板については課題期間開始以前より開発を開始しており、昨年度に置いては動作検証を実施した。このデータ収集基板にはSOIピクセル検出器の制御・信号読出しを行うための各種入出力及び10GbEで通信するためのSFP+コネクタを搭載している。この基板については検証の結果、検出器の性能上限である350Hzでの連続撮像に成功したことを確認済みであり、概ね意図した動作を得られているものと考えている。ただし、一部に改修の必要があり、また電源系にノイズ対策が必要と考えられたため、2021年度から本年度にかけて追加基板の開発と検証を行った。特に、本年度においては電源系へのノイズ対策及び必要な電源系周辺機器の構成最小化を図るための設計改良、実験セットアップ対応のためのケーブル構成の改良を実施した。 また、X線イメージャの設計に置いては検出器搭載基板を真空容器内で冷却し、フィードスルーを経由して大気中のデータ収集基板と接続することとした。そこで、INTPIX4NAを1素子搭載したX線イメージャ用基板と真空容器の開発を行い、昨年度計画を前倒しして初期試作品の製作まで完了した。 以上を組み合わせた10GbE対応データ収集基板・INTPIX4NA検出器基板・冷却容器を用いた撮像試験をKEK放射光施設において実施し、本検出器の特性が発揮される低強度のエネルギー領域5-15keVのX線を用いる光学系における有効性を確認した。 また、放射光施設内の実験ステーションのような機器ノイズが問題となる環境における測定によって前述の対策の有効性についても確認した。 現時点において、以上の進捗は計画に対しておおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は昨年度までに実施したX線イメージャに必要となる各構成要素を統合したシステム全体での性能評価を実施し、電源系を中心としたブラッシュアップを行った。 現時点においては本課題は概ね計画通り、一部は前倒しで進めることができており、このまま進めればSOIピクセル検出器INTPIX4NAを用いたX線イメージャは計画年度中に完了し、成果公表と計画範囲から発展した応用展開の一部も含めて実施できるものと考えている。ただし、今年度に引き続き、次年度においても昨今の半導体・電子部品の供給情勢は予断を許さない状況であり、部品不足・調達遅延のために計画実施に支障を来す可能性があるため、今後も開発のペースを出来るだけ早めるよう努力するとともに、必要な部品の調達を基板製作に先行して前倒しで進める等の対応を行う。
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