研究課題/領域番号 |
21K14189
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
増田 開 日本大学, 理工学部, 助教 (20801038)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 無人航空機 / ティルトウイング / クワッドロータ / モデル予測制御 / ロバスト制御 / スライディングモード制御 / クワッドティルトウイング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,様々な用途への応用が期待される無人航空機の中で,主翼の角度を可変させることで固定翼機のように優れた航続距離を維持しながら,回転翼機のように垂直離着陸や定点観察も可能な機体であるクワッドティルトウイング無人航空機(QTW-UAV)の自律飛行制御を目的とする.従来研究では特徴的な機体構造を有するQTW-UAVを制御するために制御器のゲインを切り換える構造が用いられ,飛行制御システムの不安定性やシステムの煩雑さ,また,突風外乱等に対するロバスト性や飛行条件等の制約を考慮することができない問題があった.それらの性能を改善する新しい飛行制御システムの提案,および飛行試験による有効性の検証を行う.
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研究実績の概要 |
本研究では,状態量を超平面に拘束することでロバスト性を向上させる拡張モデル予測制御(EMPC)を実装した4つのロータを有するクワッドティルトウイング無人機(QTW-UAV)の自律飛行制御システムの提案,飛行試験による実機実証を目的とする. 令和5年度は,QTW-UAVの姿勢制御器として適用するEMPCの改良とQTW-UAVの実験機を製作し,飛行試験の準備に取り組んだ.まず,EMPCの問題として,制御入力を決定する際に逐次最適化問題を解く必要があるため,計算負荷が大きくなる問題があった.この問題に対しては,制御入力を予め定めた基底関数で表現することで制御入力を決定するための計算量を低減する手法を考案した.従来のEMPCでは制御入力を計算するために内点法などの繰り返し計算が必要であったが,新たに提案した手法では行列演算のみで制御入力の計算が可能となった.この手法は数値シミュレーションに加えて,QTW-UAVの運動を姿勢制御に限定した実験装置を用いて,外乱影響下における姿勢の追従性能などを実験的にも評価し,従来手法に対する有効性を確認した.また,手法を検討する過程で,モンテカルロ法を用いて制御入力を決定する手法について展開を行った.この手法も数値シミュレーションによって従来のモデル予測制御に対するロバスト性能を評価し,有効性の検証を行った.以上の成果は,第61回飛行機シンポジウムにて発表を行い,令和6年度には国際会議にて成果を報告および学術論文として発表する予定である.QTW-UAVの実験機は電装系の開発が完了し,制御システムの実装準備を整えた.機体構造は,炭素繊維強化プラスチックのフレームで構成され,主翼および胴体の外装に発砲ポリ乳酸を用い製作中である.令和6年度に本機体を用いて飛行試験による評価を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
半導体不足等の理由から部品調達が遅れ,機体の開発の着手に大きな遅れが生じたため,試験機の完成に遅れが生じている.一方で,制御理論における手法の改良や新たな理論的な展開を行うことができたため,制御理論における予定していなかった成果を得ることができた.以上のように,機体開発に遅れが生じているが,制御理論については計画より進んでいることから総合的にやや遅れていると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,QTW-UAVの試験機を完成させ,飛行試験による評価を主として取り組む予定である.飛行試験においては,特に姿勢制御が難しいホバリング状態から巡航状態への遷移時における制御性能の評価,風などの外乱影響下における制御性能を評価する予定である.また本年度に得られた理論的な発展においても国際的な認知度向上のための講演等を計画している.
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