研究課題/領域番号 |
21K14190
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
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研究機関 | 久留米工業高等専門学校 |
研究代表者 |
田中 諒 久留米工業高等専門学校, 制御情報工学科, 准教授 (60772423)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 台車型倒立振子 / カスケード型LADRC / 目標値応答 / ラウス安定判別法 / ジュリー安定判別法 / 極零配置図 / 能動的外乱除去制御器(ADRC) / 拡張状態観測器(ESO) / 制御系設計 / 安定解析 |
研究開始時の研究の概要 |
台車型倒立振子を用いた高精度な自動制御実現のために,これの数理モデルに基づき,制御器は設計されることが一般的である.しかし,台車型倒立振子の特性が変化すると,制御系が不安定に陥ることがあるため,このような場合は制御対象の特性値を再測定してから制御器を設計し直す必要がある.そこで,制御対象の数理モデルが未知の場合でも設計可能な革新的な制御器として,線形能動的外乱除去制御器(LADRC)を応用した手法が近年注目を集めている.本研究では,台車の変位,及び振り子の角度の高精度姿勢制御のために,カスケード型LADRCを設計し,安定性を保証するLADRCパラメータの調整方針を明らかにすることを目的とする.
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研究実績の概要 |
本研究では,制御対象を台車型倒立振子,制御器をカスケード型LADRCとし,この制御系に対する安定解析および制御系の安定性を理論的に保証する,カスケード型LADRCパラメータの調整方針を明らかにすることを目的としている.ここで,当初の研究計画では,制御入力を台車の水平方向にかかる外力としていたが,これを車載モータへの駆動電圧に変更した.この変更は台車型倒立振子の仕様により配慮できるようにしたためである.なお,制御出力は台車の変位と振り子の角度であり,振り子の角度を直立させつつ,台車を任意の目標位置へ移動させることの制御目標は,当初の研究計画と同じであり,本質は不変である.従来のPD制御とは異なり,本研究で用いるカスケード型LADRCは,制御対象の特性値再測定なしに設計でき,極めて優れた頑健性を有することから,種々の制御対象に対して広く応用でき,より広い学術,科学技術あるいは社会などへの波及効果が期待できる. 上記を踏まえ,令和4年度計画のうち,前年度時点で未達であった,離散時間系における,①速応性と制御入力の関係,②安定/不安定領域の可視化については,車載モータの駆動電圧が定格電圧以内とする不等式制約条件を満足する,振り子の角度の絶対値に重み時間を付けた時間積分値とする評価指標が最小となるカスケード型LADRCパラメータの組を一意に導出する,令和3年度計画の枠組みと同様の手法により達成できた.本研究成果の一部を,計測自動制御学会年次大会(SICE2024)へ論文投稿を終え,採択された場合には成果発表の予定である. 令和5年度計画はモデル不確かさに対する頑健性の確認及び実機実験を予定している.令和6年度中の完遂を目指して日々研究に精進する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前記【研究実績の概要】のとおり,連続時間系,離散時間系とも,LADRCパラメータの調整方針を定め終えたところであるが,令和6年度は実機実験に向けた準備状況にあるからである.それでも,連続時間系における安定解析と同様の解析と検証方法が可能であるものと見込んでおり,当初の研究計画どおりに遂行できるものと思われる.
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今後の研究の推進方策 |
本研究における今後の研究の推進方策としては,未達事項である,実際の台車型倒立振子を用いた実機実験をとおして,①実験環境の構築とモデリング,②カスケード型LADRCとPD制御(従来法)との比較・評価,③振り子を手で突いたときの頑健性の確認,④台車に錘を負荷したときの頑健性の確認,⑤斜面上での姿勢制御の検討を行う予定である.なお,これら①~⑤に加え,国際会議での研究成果発表および学術論文誌への掲載に向けて,論文執筆も並行して遂行を予定している.
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