研究課題/領域番号 |
21K14201
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
横川 凌 明治大学, 理工学部, 助教 (10880619)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ラマン分光法 / 非調和振動 / 局在振動モード / シリコンゲルマニウム / フォノン / SiGe / 熱伝導率 |
研究開始時の研究の概要 |
SiGe混晶は合金効果で熱伝導率が大きく低減することから、近年新たな熱電発電材料として注目されており、更なる低熱伝導率低減を達成すべく、様々な熱電発電デバイス構造が提案されているものの、熱輸送を考える上で重要なフォノンの振舞いは評価技術が未発達で、未だ理論的予測に留まっている。本研究ではフォノンエネルギーを直接観測することができる温度可変ラマン分光法により、SiGeの微視的な熱伝導機構を明らかにする。そして飛躍的な熱伝導率低減を可能とするSiGe混晶のフォノン散乱機構を実証することでSiGe熱電発電デバイスの性能を大幅に向上させ、混晶という複雑な系のフォノン物性の学理構築を目的とする。
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研究実績の概要 |
シリコンゲルマニウム(SiGe)混晶の微小領域における温度測定を確立すべく、高エネルギー(ラマンシフト)分解能を有する顕微ラマン分光装置を用い、SiGeラマンスペクトルの温度可変測定を実施した。前年度に引き続きラマンシフトと温度の関係を具体的に導出することを目的に、顕微ラマン分光装置に温度可変ステージを搭載し、SiGeのラマンシフトと温度の関係(dω/dT)を明らかにした。室温から300℃の範囲ではdω/dTは線形関係を有することが分かり、温度上昇に伴いラマンスペクトルが低エネルギー(低波数)側にシフトすることを確認した。 今年度は高Ge組成も含む全Ge組成の単結晶バルクSiGeのラマン分光分析を検討し、光学モードであるSi-Si、Si-Ge、Ge-Ge振動モードのラマンシフトと温度の関係の比較検討を実施した。実験に用いた試料はチョクラルスキーおよび飽和溶融帯移動法で作製された単結晶バルクSiGeである。また、前年度の結果を踏まえつつ温度可変ラマン分光分析を行った結果、全振動モードのdω/dTはGe組成に概ね依存せず、各振動モード特有の一定値を有することが明らかになった。 これら光学モードに加え、混晶由来の局在振動モードについてもラマンスペクトルの温度依存性導出を試み、SiGe混晶特有の局在振動モードに関する温度依存性算出も試みた。高Ge組成単結晶バルクSiGeに対し、レーザパワー掃引ラマン分光法と本研究で導出したdω/dTを組み合わせることで孤立原子およびSi-Si、Si-Geペアの局在振動モードがどのような挙動を示すかを詳細に検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該年度は全Ge組成バルクSiGeのラマン分光分析に着手し、全光学モードのラマンシフトと温度の関係を高精度に見出し、全振動モードのdω/dTはGe組成に概ね依存せず各モード特有の一定値を有することを明らかにした。さらにSiGeの微視的な熱輸送メカニズム解明へ向け局在振動モードの温度依存性評価にも着手しており、高空間分解能下でSiGe熱電発電デバイスの微小領域における温度測定への準備が整いつつある段階である。
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今後の研究の推進方策 |
全振動モードのdω/dTを適切に用いつつ、実際のSiGe熱電発電デバイス構造を想定した試料を準備し、高空間分解能下で高精度に温度および熱伝導率を算出可能か検討する予定である。既にSiGeナノワイヤ、自己整合SiGeナノドット等の試料は準備済みであり、レーザパワー掃引ラマン分光分析で微細構造内の温度変化をラマンスペクトルから評価し、デバイスプロセスにフィードバックする。
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