研究課題/領域番号 |
21K14203
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 一般財団法人電力中央研究所 |
研究代表者 |
浅田 聡志 一般財団法人電力中央研究所, エネルギートランスフォーメーション研究本部, 主任研究員 (70870509)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | SiC / バイポーラトランジスタ (BJT) / 少数キャリア移動度 / 真性キャリア密度 / バイポーラトランジスタ / バイポーラ動作 / キャリア移動度 / 高注入状態 |
研究開始時の研究の概要 |
少数キャリア移動度は、バイポーラ型半導体デバイスの電気特性を決める重要な材料物性であるが、未だ導出方法が確立されておらず、SiCにおいても明らかでない。本研究では、SiCバイポーラデバイスの電気特性の厳密モデル構築にむけて、バイポーラトランジスタ(BJT)を用いた独自の評価手法を提案し、少数キャリア移動度の決定を目指す。デバイスシミュレータを用いて物性導出に適したBJTを設計・作製し、少数キャリア移動度の温度・多数キャリア密度依存性を系統的に得る。また、電子・正孔の両キャリアが高密度で存在する高注入状態におけるキャリア移動度も、BJTの増幅率を用いた独自の解析手法により決定する。
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研究実績の概要 |
本題目では、バイポーラ型SiCパワーデバイスにおいて、耐圧維持層に注入された少数キャリアの移動度決定を目指している。移動度決定手法としてバイポーラトランジスタ(BJT)を用いる方法を提案しており、3年間における研究計画は、大まかに以下のようになる。R3年度: デバイスシミュレーション(TCAD)を用いた移動度決定手法の確立および詳細な実験内容の決定。R4年度: 少数キャリア移動度の実験的決定。R5年度: 得られた移動度を用いた様々なSiCバイポーラデバイス電気特性のシミュレーションによる再現。 以上の計画に基づき、R4年度の研究を実施した。実施内容を以下に示す。 まず、R3年度に設計した移動度導出に適したデバイス構造を有するBJTを作製した。作製したBJTの電気特性(コレクタ電流のベース電圧依存性)を評価したところ、リーク電流が重畳されていない理想的な特性を得られた。本研究で提案する解析手法においては、解析誤差の要因となるリーク電流を極力低減することが重要であり、評価に適したデバイスの作製に成功した。 電気特性の測定結果から、考案した解析手法に基づき少数キャリア移動度を導出したところ、少数キャリア移動度は、解析の際に仮定するパラメータ(真性キャリア密度やイオン化エネルギーなど)に依存し、室温において500 ~ 1000 cm2/Vsと導出できた。なお、本移動度決定手法に関しては特許出願済である。 また、逆に少数キャリア移動度を仮定することで、真性キャリア密度およびバンドギャップの取り得る範囲を実験的に導出する手法を提示し、第70回春季応用物理学会学術講演会にて発表した。次年度は、より厳密な値の導出および、シミュレーションによるデバイス特性の再現を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R4年度の研究目的は、少数キャリア移動度の実験的決定であり、解析誤差はあるものの、値の抽出に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
少数キャリア移動度をより厳密に決定するには、別手法の考案が必要であり、コレクタ電流の周波数依存性の評価を検討している。次年度は、より厳密な値の導出を目指す。 また、得られた移動度を用いた様々なSiCバイポーラデバイス電気特性のシミュレーションによる再現を目指す。
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