研究課題/領域番号 |
21K14213
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
石川 瑞恵 日本大学, 工学部, 講師 (60751865)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | SiスピンMOSFET / スピン伝導 / ホイスラー合金 / 界面抵抗 |
研究開始時の研究の概要 |
新しい動作原理に基づくシリコン(Si)スピン電界効果トランジスタ(SiスピンMOSFET)は,近年進展が目覚ましいIoT技術を支える電子機器の更なる小型化・高速化・低消費電力化への貢献が期待できる,極めて重要な新型半導体デバイスである.SiスピンMOSFETの実現には,スピン信号強度の増大は必要であり,そのためにはSiへのスピン注入技術の向上が最重要課題である.本研究では,これまでのSiスピンMOSFETの研究で得られた知見に基づき,スピン信号の低減を招く界面抵抗に着目し,低界面抵抗構造を創製することにより,スピン信号強度を増大させることを目的とする.
|
研究実績の概要 |
新しい動作原理に基づくシリコン(Si)スピン電界効果トランジスタ(SiスピンMOSFET)は,近年進展が目覚ましいIoT(Internet of Things : モノのインターネット)技術を支える電子機器の更なる小型化・高速化・低消費電力化への貢献が期待できる,極めて重要な新型半導体デバイスである.SiスピンMOSFETの実現には,Siへのスピン注入技術が最重要課題である.本研究では,これまでのSiスピンMOSFETの研究で得られた知見に基づき,スピン信号の低減を招く界面抵抗に着目し,低界面抵抗構造を創製することにより,スピン信号強度を増大させることを目的とする. 昨年度は低界面抵抗構造の形成に必要な高濃度Si層の作製を実施し,高濃度n型Si層において,作製時に行うアニール温度によって表面粗さが変化していることを明らかにした.一方,高濃度p型Si層においては表面にボイドが発生してしまい,作製条件を最適化することができていなかった。そこで今年度は,高濃度p型Si層の作製条件を見直し,基板表面にボイドが発生しない方法を見出し,高濃度n型Si層と同程度の表面粗さを有する高濃度p型Si層の作製に成功した.来年度は,これらの高濃度Si層を用いてスピン信号素子を作製していく予定である。 また,昨年度未着手であった高濃度Si上へのCoFeB/極薄MgO積層膜の結晶成長について,故障していたスパッタリング装置を修理し,CoFeB層とMgO層について成膜条件出しを行った.さらに,遅延していたスピン信号測定器の立上げも行った。装置の組立ておよび測定プログラムの作成は完了したが,測定器に使用する部品が半導体不足の影響で大幅に納品が遅れてしまい、完成には至っていない.来年度は早々にスピン信号測定器を立上げ,これまでの結果を集約させ低界面抵抗構造でのスピン信号の評価を行っていく予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度遅延していたSi上へのCoFeB/極薄MgO積層膜の結晶成長に着手することができ,当初予定していた計画に若干の遅延はあるが,おおむね順調に進展している現状である.さらに,Si基板への低界面抵抗構造の形成に必要な高濃度p型Si層の作製を実施し,作製条件の見直しにより,基板表面にボイドが発生しない方法を見出し,高濃度n型Si層と同程度の表面粗さを有する高濃度p型Si層の作製に成功した.一方,スピン信号測定器の立上げについては,測定器に使用する部品が半導体不足の影響で大幅に納品が遅れてしまい、完成には至っていないが,来年度は早々に立上げが完了する予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
先ずは,スピン信号測定器の立上げを早急に完了させる予定である.またスピン信号測定素子の作製については,おおむね作製条件が揃ったため,東北大学などの他大学の微細加工施設も利用しながら実験を加速させ遂行する予定である.また学内のコロナによる密な状況の緩和が予定されていることから,研究生・ゼミ生との実験期間の短縮化も見込まれているため,今年度よりも研究の進捗が早められると考えている.
|