研究課題/領域番号 |
21K14228
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22020:構造工学および地震工学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
阿久津 絢子 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (10894496)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 動的挙動 / 橋梁振動 / 三次元点群データ / 変位 / 動画分析 / 位相限定相関法 / モニタリング / 振動特性 / 振動誤差 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,維持管理の高度化,効率化のためのモニタリング技術が注目されている.橋梁では,構造物の状態を評価するため変位の把握が重要となってきているが,センサ設置やデータ回収等が周辺環境に依存するため,計測の簡易化が求められている.本研究は,複数画像の特徴点を組み合わせて得られる三次元点群データに着目し,橋梁支承部等の変位取得を行う計測システムの構築を目指すものである.本手法は,カメラの連写機能等で得られた画像から橋梁の振動特性を取得する新しい発想を備え,振動特性取得や画像選定等に機械学習を適用することで,画像を撮影するだけで対象部の変位が取得できる簡易で効率的な計測システムの構築を行う.
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研究実績の概要 |
本研究は,カメラによる動画や画像を用いて構築する橋梁の三次元点群データについて,特に橋梁の振動により生じる誤差を低減するため,振動特性を考慮した三次元点群データによる橋梁変位計測システムの開発を目的としている. 本年度は前年度作成した動画から橋梁の振動を取得する手法を点群データ構築に適用する方法について検討を行った.通常画像を用いた点群データは対象物を角度や距離を変えて複数地点から撮影された画像を用いて構築される.本研究では,画像の代わりに動画を用いて点群データの作成を試みた.カメラは三脚に固定し,各地点で撮影した動画をそれぞれ分析することにより計測対象の振動情報を取得し,振動波形の中から基準点(本研究では振動の節となる部分)を決め,各動画から対象のフレームを抽出して点群データ化する方法を構築した. 動画を用いた点群構築は,はじめに振動試験機と鋼角パイプで振動している橋梁を模擬したモデル実験を行い,本研究で提案する振動を考慮した場合と振動を考慮せずにランダムにフレームを選択して点群データを構築した場合では,点群データの特徴点のプロット位置が大きく異なり提案手法では振動による誤差を低減できていることが確認された.次に実橋梁での適用実験を行った.本実験は振動状態を正確に把握するため起振機を歩道部に設置し強制振動を与えた.屋外での計測であるため,カメラ自体の振動が懸念されたが提案手法とランダムフレームを抽出した場合では最初に選ばれる特徴点の個数,すなわち点群データ構築時に異なる地点から撮影した画像間での特徴点のマッチング数は,提案手法が最も多く,振動による誤差の影響が低減され点群データ構築精度の向上可能性を確認することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は2年目に計画していた振動状態が同じ動画フレームを抽出する方法の検討,それらのフレームの画像を用いて点群データを構築する方法の検討を行い,前年度構築した動画分析により橋梁の振動状態を把握するシステムを点群データ構築に導入したシステムを構築した.提案手法は振動状態を把握しやすいように,強制振動を用いているものの実験室実験および実橋梁での実験により適用可能性を検証し,提案手法が従来の振動を考慮していない画像を用いた場合の点群データよりも構築精度の向上可能性を示すことができたため,本研究は概ね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
振動を考慮した点群データ構築方法について引き続き検討を行い,特に動画フレームの抽出方法について着目していきたいと考えている.現在は動画分析により得られた振動波形から振動中心(ゼロクロッシング点)に最も近いフレームを抽出しているが,フレームレートの関係で各動画にも微笑な差異が生じている.そのため,フレーム間での動きを予測,補間することで限りなく各動画の抽出フレームに差異が生まれない方法を検討したいと考えている.また,最終的にはドローン撮影などを適用することが橋梁全体の点群データを撮影するためには必須であるため,対象物だけでなくカメラ側が揺れている場合への対応について不動点を用いることで対応する方法を検討している. 研究成果の公開に向けて準備を進めており,学会発表や論文投稿を行う予定である.
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