研究課題/領域番号 |
21K14242
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 山梨大学 (2022) 山口大学 (2021) |
研究代表者 |
梶山 慎太郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (50803532)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 鉄筋挿入工法 / 個別要素法 / 模型実験 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,鉄筋挿入工法を密度の異なる既存盛土に適用した際の鉄筋の影響範囲を実験と解析から明らかにすることである.そのためのアプローチとして,実験から得られた画像の解析あるいは数値解析から粒子の移動量や個々の粒子にかかる力を計測することで鉄筋の影響範囲を明らかにする.本研究の到達目標は鉄筋による補強の影響範囲を解明することであるが,将来的には盛土の性能設計に鉄筋挿入工法が採用されることで,盛土の優先度等を考慮した効率的な盛土補強による広範囲の防災に資することである.
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研究実績の概要 |
鉄筋に力が働いた際の変化を詳細に把握するために開発した,静的載荷式鉄筋挿入工模型実験装置による乾燥砂を用いた実験を行った. 模型盛土を削孔した後に補強材を挿入し,載荷を行うと補強材による補強効果が認められた一方で,削孔を行うこと自体による強度低下が見られ,この問題を解消するために,供試体密度を高くし,補強材挿入後に突固めを行うことで,補強材と模型盛土との一体化を図った.さらに,より詳細にすべり面を分析するために,より高い解像度のカメラを用いて載荷初期からの連続的な撮影を行った. その結果,補強材による強度増加量が増加した.これは,補強材と模型盛土が十分に一体化したためと推察される. 荷重を盛土が破壊した際のピーク荷重で除した正規化荷重90%以上に着目すると,無補強では載荷初期からほぼ直線的にピーク荷重まで達しているのに対して,補強材を挿入した実験では正規化荷重の約93%付近で一度定常状態となり,その後ピーク荷重に至ることが明らかとなった.ピークに達した後は,無補強では正規化荷重の約91%まで低下しているのに対して,補強材を挿入した結果では約93%まで低下した.実験方法改良後での実験は1ケースずつしか行っていないが,上述した改良前の実験結果を踏まえると,補強材を挿入した方が盛土の破壊が延性的になることが明らかになった. 推定される補強材の位置とすべり面が交差していることに加え,実験後に取り出した補強材が折曲がっていなかったことから,砂が補強材の周りからすり抜けて盛土が崩壊したことが推察される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度から今年度にかけての課題であった実験方法を確立できた.これにより,実地盤における削孔による強度への影響より鉄筋を挿入することによる強度への影響が大きい条件の再現を手順化でき,今後の実験をスムーズに行うことができるようになった.測定方法については,本年度行った実験だけでも光源の位置やカメラ位置等の変化で精度の向上が認められたため,次年度も引続き調整することでより高精度な結果を得ることができると見込まれる. また,観察によって引抜き抵抗が大きく影響していることが明らかとなり,既往の結果と矛盾しない結果が得られた. さらに,これら実験方法および観察方法の改善により,乾燥砂における砂の移動と鉄筋位置の関係を明らかにすることができた.
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今後の研究の推進方策 |
継続して測定方法の改良を行い,精度の向上を行う. 試料の条件面では,供試体密度の変更し,既往の結果と比較する.また,湿潤試料を用いて実験を行い,すべり面および砂のすり抜けや補強材の変形を観察し,補強効果の範囲を明らかにする. また,本年度の実験で発生した砂のすり抜けを個別要素法で再現する.この際,よりシンプルに現象を理解するために,六面体要素と鉄筋要素モデル1本の組み合わせでせん断シミュレーションを行う.その後,鉄筋要素モデルの本数を増やして挙動の観察および接点力の取得を行う.
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