研究課題/領域番号 |
21K14250
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22040:水工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清水 裕真 京都大学, 工学研究科, 助教 (20869705)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 粒子法 / FSI / ISPH法 / 数値シミュレーション / エネルギー保存性 / 計算力学 / SPH法 / SPH |
研究開始時の研究の概要 |
構造物の設計にはCAE(数値シミュレーション)の活用が効果的である.海岸工学分野においては自由水面を伴う波・激流と構造物との流体構造体間相互作用(FSI)現象が解析対象となるが,その境界条件の複雑さから取り扱いは困難である.本研究では,境界大変形問題の安定解析が容易な数値計算手法の一つである粒子法をベースとして,エネルギー保存性・物理的整合性の高い新たな高精度FSIソルバーを開発する.系のエネルギー保存性が確保された安定かつ物理的整合性の高い高度数値モデルの構築は,実務設計への展開はもちろん,緻密な検討が困難な構造物の変形・破壊挙動を伴うFSI現象のメカニズム解明のための新たな技術にも繋がる.
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研究実績の概要 |
本研究では,エネルギー保存性の高い高精度粒子法型流体-構造連成解析手法の構築に取り組んでいる.本年では,その実現のために必要な4つの課題の内,①流体・構造体の精度・エネルギー保存性向上のための高次微分演算子モデルの導入,③整合性の高い力学的連成のための連成手法のエネルギー保存性からの検討・開発,について取り組んだ. ①について,本年度は流体モデルの高次化の更なる高度化に成功した.具体的には,圧力勾配離散化モデルの高次化の立式を見直し,離散化モデルの作用力の反対称性を保持しながら修正行列を導入するという新しい離散化法を提案することで,十分な計算安定性を保持しつつ計算精度とエネルギー保存性を向上させることに成功した.提案手法はベンチマークテストの結果から既往の離散化モデルと同等の安定性と遥かに向上したエネルギー保存性を持ち,さらに計算効率の改善にも効果的であることが示された. ③について,流体モデルの反対称性型勾配モデルに対応する形での相互作用モデルを提案し,FSI計算を実施した.本モデルでは流体-構造体間の運動量交換に基づく相互作用力が課されることから保存性が良好であり,ベンチマークテストを通した検証からも提案手法にて高精度で安定したFSI計算が行えることが示された. これらの成果は国際および国内学術誌へ投稿・掲載された他,国際および国内会議にて発表を実施した.また,①の成果にて海岸工学論文賞を受賞することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に記載した4つの課題のうち2つに対する研究を良好に進めることができた.流体モデルの離散化形の改良により安定性は向上し,その離散化形に合う保存性に優れた相互作用モデルの開発が概ね実現できた.
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今後の研究の推進方策 |
一昨年度,昨年度とあわせ現在までで4つの課題に対して一定の成果を得ることができ,提案モデルの基本となる枠組みが完成に近づいた.今後はここまでの成果を組み合わせたモデルにてモデルの検討を進めるとともに,計算の3次元化や実務応用への可能性の検証をすすめていきたい.
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