研究課題/領域番号 |
21K14275
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野村 洋平 京都大学, 工学研究科, 助教 (30869730)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 正浸透法 / 下水二次処理水 / 三酢酸セルロース活性層 / 膜ファウリング / 有機物画分 / 下水処理水 / 濃縮 / ファウリング / 無機系ファウラント |
研究開始時の研究の概要 |
下水処理水の農業利用に向けて、正浸透法による下水処理水の濃縮を検討するとともに、膜閉塞(膜ファウリング)の発生機構の解明を試みる。無機物によるファウリング特性を評価するため、カルシウムイオンなどを添加した下水処理水の正浸透膜ろ過実験を行い、下水処理水に含まれる有機物と無機物の相互作用を加味した膜ファウリングの発生機構を明らかにする。加えて、促進酸化法と正浸透法を組み合わせた処理プロセスについて検討する。光触媒分解などの促進酸化処理により下水処理水中有機物を分解するとともに、有機物画分の挙動を調査し、膜ファウリングの抑制効果を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
正浸透(FO)法による下水二次処理水の濃縮特性の評価を目的として、クロスフロー流速が膜透過水fluxに及ぼす影響を評価するとともに、FO膜の洗浄方法の検討と膜ファウリング原因物質の探索を試みた。三酢酸セルロース活性層の平膜を使用し、供給液(FS)として下水二次処理水を、駆動液(DS)として6 M NaClを用いて膜ろ過実験を実施した。クロスフロー流速10.7 mm/sの条件では24 hの処理で膜透過水fluxは21 L/m2/hから4.8 L/m2/hまで低下した一方、クロスフロー流速100 mm/sの条件では処理時間24 h経過後の膜透過水fluxは9.7 L/m2/hであったことから、クロスフロー流速を増加させることで膜ファウリングが抑制しつつ下水二次処理水を濃縮できることが確認された。クロスフロー流速を100 mm/sとし、同一のFO膜を用いて下水二次処理水の反復処理試験(反復回数 3回、処理時間 30 h/回)を実施し、膜洗浄方法の検討と膜透過水fluxの評価を行った。ファウリング膜を純水に浸漬し、超音波発生装置を用いて投入エネルギー量を120 J/s、洗浄時間を4 minとした条件で膜表面の洗浄を行った結果、FO処理再開直後の膜透過水fluxは初期値と同等であり透水性能の回復が確認された。FO膜の洗浄後の水には超音波洗浄により剥離した膜ファウリング原因物質が含まれると考えられるため、洗浄後の水に含まれる有機物画分をサイズ排除クロマトグラフィーにより分析した。分子量が数百万Daと数千Daの有機物画分が検出され、これらの有機物画分が三酢酸セルロース活性層のFO膜のファウリングに寄与していると推定された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
下水二次処理水の正浸透処理試験を行い、クロスフロー流速などの影響因子を評価し、膜洗浄方法の検討と膜ファウリングに寄与する有機物画分を調査した。膜ファウリング原因物質の特定まで至っておらず、栄養塩の濃縮特性と促進酸化処理が膜ファウリングに及ぼす影響を評価できていないため、研究はやや遅れていると自己評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き膜ファウリング原因物質を探索するとともに、超音波がFO膜と膜ファウリング原因物質に及ぼす影響評価、洗浄操作後にFO膜に残存する物質の特定、膜ファウリング発生機構の解明を試みる。加えて、促進酸化法による下水二次処理水の前処理が膜ファウリングに及ぼす影響を評価する。
|