研究課題/領域番号 |
21K14276
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竇 毅 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 特任助教 (10851107)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 都市更新 / ゼロエネルギー / ライフサイクルデザイン / 技術評価 / コンパクトシティー / 脱炭素社会 / コンパクトシティ / ゼロエネルギー化 / 技術アセスメント |
研究開始時の研究の概要 |
21世紀半ばにカーボンニュートラルを実現するには、地域に建築のゼロエネルギー化を早期に達成しなくては行かない。本研究では、4d-GISを用いた建物分布変化の分析から都市更新をシミュレーションする上で、建物運転時のエネルギー消費を最小限にする地域エネルギーシステムを設計する他に、内包的エネルギー消費に関わる建材の木質化の可能性を探る。特に、スマート電力システム、直交集成板(CLT)等新興技術に対する適用性とライフサイクルインパクトの評価に基づき、統合的モデルによって新興技術の導入規模をより現実的に予測し、地域における建築のゼロエネルギー化を実現できる地域ライフサイクルデザイン手法を開発する。
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研究実績の概要 |
2023年度の研究では、主に建築部門のゼロエネルギー化を支えるエネルギー供給システムのゼロエネルギー化に注力し、資源循環システムの構築がライフサイクルにて建築部門の内包的エネルギーを削減するポテンシャルを量的に把握した。2022年度の研究では、ライフサイクルアセスメントの視点から、住民の居住形態、居住生活と日常の交通活動による直接的なエネルギー消費量と、住宅及び導入されたエネルギー供給と蓄電システムの内包的エネルギー消費量を含め、脱炭素社会の実現を支えるエネルギー総消費量及び、それがすべて再生可能エネルギーから賄う場合に必要な重要金属資源の占有量を推計した。それに続き、2023年度では使用済太陽光パネルとリチウムイオン電池を対象に、資源循環システムの高度化がもたらすエネルギーと資源消費量の削減効果を推計した。特に、新興の高度解体技術である電気パルス解体法の導入に対し、プロスペクティブライフサイクルアセスメントの手法とダイナミックマテリアルフロー分析の手法を組合せ、実験室レベルから規模生産へのスケールアップ効果を把握しながら、ライフサイクル全体での環境影響を推計できた。その結果、使用済太陽光パネルとリチウムイオン電池の単純焼却と埋め立て処理に比べ、従来通りに物理粉砕後、乾式製錬と湿式製錬を通じる重要金属のリサイクルではライフサイクルエネルギー消費量をおおよそ半減できると分かった。さらに、高度解体技術の導入では資源の再生利用をしやすくさせるため、エネルギー消費量をより大幅に削減することが明らかにした。これらの結果を踏まえ、高度資源循環システムの開発が建築部門のゼロエネルギー化に大きく貢献するが分かり、最終的に分野横断的な政策パッケージが要されると結論に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度ではコロナ禍の影響がまだ残っていたが、学術交流活動がほぼいつものように活発になってきた。その結果、本研究課題の今までの内容成果を複数の国際学会にて発表ができ、有識者や政策制定者からいい反響をもらえた。一方、インパクトファクターの高い学術ジャーナルでは論文の投稿数が急激に増えるため、査読がより厳しくなり、予想以上に時間がかかる状況に陥った。学術交流の活発に伴って対応に仕事時間がかなり増えた以上、論文が査読から発表までより長い時間がかかるため、本研究課題ではやむを得ずに期間延長し、最終年度では最新知見を含む提案型研究論文の発表に注力していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究成果を受け、今年度は最新の社会経済情勢を読み込んだシナリオを設定し、建築部門のエネルギー消費量をもっと精確に推計するモデルの開発に注力することで、建築部門のゼロエネルギー化の実現性を評価するだけでなく、その実現をサポートする再生可能エネルギーと建材の関連産業(コンビナート)の必要導入量まで評価を行う。ここに産業共生の理念を入れた資源循環システムをデザインし、建築部門のゼロエネルギー化と地域循環共生圏の形成とのネクサスを明らかにしたい。
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