研究課題/領域番号 |
21K14277
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
橋口 亜由未 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (00805195)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 硫酸還元菌 / 有機性排水処理 / クオラムセンシング / オートインデューサー / アシル化ホモセリンラクトン / EPS / 嫌気性排水処理 / グラニュール / 排水処理 / 高速化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,硫酸還元菌のグラニュールが,クオラムセンシングの利用により効率的に形成される条件を探索し,その排水処理能力を最大限に引き出すことを目的としている。まず回分式添加実験によって,グラニュール形成条件を決定する。次に,グラニュール形成寄与する細胞外高分子の産生に対するオートインデューサーの効果を確認する。世代シーケンサーによる遺伝子解析等により,グラニュール中の微生物種と分布を把握し,形成されたグラニュールの構造を明らかにすることで,グラニュール形成の効率化を図る。最終的には,形成された硫酸還元菌グラニュールによる有機性排水の処理の高速化を目指す。
|
研究実績の概要 |
嫌気性ファーメンターで約1年間予備馴致した硫酸還元菌をにAHLsを添加後,化学的酸素要求量(COD),MLSS,MLVSS,グラニュール粒径の測定,硫酸イオン濃度,硫化物イオン濃度,EPSを抽出液中の全糖類とタンパク質の定量を行い,AI添加による影響を評価した。 その結果,全条件で硫酸還元反応が確認され,AHLs添加なしと比較してAHLs添加条件の方で有意差が見られた。AI-3,4,6添加系ではCOD除去率が最大で65 %以上と高い値を示した。AI-2と5の添加系では,粒径が0.15mm以上増大した。全糖濃度はAI-2と5で8~14 mg/L程度増加したが,AI-1,3,4,6では最大で3 mg/L程度しか増加しなかった。総タンパク質濃度は,AI-1,2,5添加系では初期濃度よりも減少する傾向であったが,AI-3,4,6では23~30 mg/L程度増加した。COD除去率が低いAI-2,5では,全糖濃度が増加し,グラニュール径が増大した。COD除去率が高いAI-3,4,6では総タンパク質濃度が増加傾向にあり,グラニュール径が増大しにくかった。AI-2,5では,菌体外に分泌された多糖類が多く,結果として全体としてのCOD除去率が低くなり,この多糖類がグラニュール形成に寄与したと考えられる。一方で,COD除去率が高いAI-3,4,6添加系ではタンパク質が増加した原因として,ヒドロゲナーゼのような酵素の産生促進が考えられる。反応の触媒となる酵素によるCOD分解が促進され,グラニュール形成に必要な糖類の分解が起きたことでグラニュール径が増大しにくくなったと考えられる。COD除去率が向上するAHLs(AI-3,4,6)とグラニュール径が増大するAHLs(AI-2,5)では,増加するEPS成分が異なることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度には回分式添加実験におけるグラニュール形成条件の検討を実施項目としている。グラニュール形成および高COD除去率が得られるアシル化ホモセリンラクトン類(6種)の最適添加条件が決定でき,複合添加についても検討を行った。また,細胞外高分子(EPS)の評価と菌叢解析についても着手できた。
|
今後の研究の推進方策 |
AI添加前後の菌叢解析の結果を参考に,Ai添加によりどの微生物が活性化されているのかを把握するさらに,グラニュール中の菌叢の分布も確認する。
|