研究課題/領域番号 |
21K14286
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
張 天昊 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (90845728)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 曲面構造 / 形態創生 / 曲線折り / 構造デザイン / 空間構造 / 離散微分幾何 / 自由曲面 / 建築構造 / 可展面 / 曲面建築 / 自己釣り合い / 最適化設計 / 折り紙 |
研究開始時の研究の概要 |
展開構造は、災害用の仮設建築や大スパン建築の、経済的かつ合理的な建設手法などに活用されている。本研究では、畳み込みが可能な可展面によって自由な曲面を創る。自己展開が可能な新たな曲面展開構造システムを構築することで、滑らかな曲面を有すると同時に、美しく強い展開構造が実現できる。本研究は、数学や芸術の領域で発展してきた曲面折り紙を、構造工学の視点から建築分野への応用を試みることで、新たな知見をもたらすことが期待できる。
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研究実績の概要 |
2023年度は、これまでの研究で確立した曲線折り紙の設計手法を利用し、構造の機能を有する畳み込み可能な曲面折り紙を建築構造に応用した。 まず、前年度までの研究で提案した形状探索手法により、湾曲した梁と大空間建築の屋根を曲線折り紙で設計することに成功した。梁と屋根の上面はお互いに平行したルーリングにより表現する曲面である。3次元形状の決定と同時に、平面に展開した際に3次元状態のルーリングと対応する2次元のルーリングと折線も求めることができた。1枚の板を曲げることで3次元形状への変形ができるため、従来の自由曲面構造による建築より建設コストを削減できることが期待できる。 ここで注意されたいのは、本研究で提案した形状探索手法は、①完全に平面まで展開した状態と②目標の3次元形状の状態、計2つの状態のみについて確認を行っている。平坦な板から目標形状までの間は弾性変形が発生するため、剛体変形のみでは実現できない。そこで、有限要素法による大変形解析を行うことで数値モデルの変形と応力状態を確認した。 また、本手法により提案した建築構造を実際に作成した。プリント用紙、厚紙、クリアファイルを材料とし、カッティングプロッターで曲線の折り目を入れることでそれぞれの物理模型を作成した。さらに、3Dプリンターを用いて、曲げ剛性の高い材料で曲線折り紙の建築を実現する場合を想定した実物模型を作成することができた。 今後は、本研究により開発した手法を用いて、新たな構造システムの力学性能を調査するとともに、研究成果の総括を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度では、建築構造としての機能を有する畳み込み可能な曲面折り紙の作成を目的としていた。建築の梁、大空間の屋根などを含む構造部を曲面折り紙による設計を提案するとともに、有限要素法による応力状態の確認ができた。また、3Dプリンターを用いて、畳み込み可能な実物模型を作成することができた。これにより、2023年度の研究は、おおむね順調に進展していると考えられる。当初の目的をより精緻に達成するため、補助事業期間を1年延長した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本手法により開発した構造システムの力学性能を調査するとともに、研究成果の総括を行う予定である。本研究の遂行にあたり、建築に応用可能な形状に近似した曲面折り紙の形状を開発できることが分かった。本手法を用いて、新たな構造の形状を探索し、力学特性を把握する予定である。よって、当初の目的をより精緻に達成するため、補助事業期間を1年延長した。研究の遂行と同時に研究成果の総括を行う予定である。
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