研究課題/領域番号 |
21K14290
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
伊藤 洋介 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00757338)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 花粉 / 帯電 / 吸着 / 建築材料 / 開口部 / 網戸 / 金網 / 微粒子 / 開口 / コロナウィルス |
研究開始時の研究の概要 |
コロナウィルスなど空気中のウィルスや細菌による感染症を防ぐため、居室の換気は必要である。しかし、花粉症等のアレルギー患者がいた場合、花粉等の微粒子が外気から流入することを嫌って換気しないことも多い。 本研究では、開口部近傍を帯電することで、換気によって流入する空気に含まれる花粉等を帯電によって吸着して減じることを検討する。特定の周期で帯電の正負を入れ替えることで正負のいずれに帯電した花粉も効率よく吸着できると推定し、帯電の正負切り替えによる花粉等の吸着メカニズムを明らかにする。本研究の成果により、建築物利用者は花粉症等のアレルギーを気にせず気軽に換気できるようになり、感染症対策の一助となる。
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研究実績の概要 |
2022年度までに複数の網戸用金網に対してそれぞれ正負が異なる電圧を印加することによって、単数の網戸用金網や複数の網戸用金網に対してそれぞれ正負が同じ電圧を印加した場合よりも花粉をより吸着できることを明らかにした。 2023年度は網戸用金網に印加する電圧の正負切り替えが網戸用金網の花粉吸着性能に及ぼす影響について検討を行った。これにより、当初計画における「開口周辺部の金属部材に印加する電圧の正負切り替えによる開口部からの花粉流入の防止」が可能であることを示した。 実験の範囲内において以下のことが分かった。①一部の条件を除き、金網に印加する電圧の正負切り替えにより、金網の吸着性能を向上できることが明らかになった。②電圧の正負切り替えのサイクルにつき、正、接地、負、接地で1サイクルとしたとき、1分間に50サイクル以上の間隔で正負を切り替えた場合、重力沈降で落下する花粉が金網を通過する割合は電圧によらず40%以上減少し、線径0.3mm、電圧絶対値1.0kVまたは2.0kV、1分間に50サイクルで50%減少した。③電圧の切り替えによる重力沈降で落下する花粉が金網を通過する割合の減少は線径が大きい方が大きくなる。電圧の切り替えで堆積減少率が最も向上するのは、線径0.5mm、電圧絶対値1.0kV、1分間に150サイクルの場合で、電圧の切り替えを行わない場合に比べて重力沈降で落下する花粉が金網を通過する割合の減少は27ポイントとなる。④網戸用金網に印加する電圧の正負切り替えにより、開口から流入する花粉を最大67%減じることができると明らかにした。 以上より、帯電によって開口部からの花粉流入を減じるサッシを作製するための技術の1つが見出され、これを採用すれば、花粉症罹患者の症状軽減に寄与できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
推定されるメカニズムに基づいて、電圧の正負切り替えによる花粉吸着性能向上について効果を確認できた。およそ当初の目標を達成できたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発できた技術を組み合わせて、さらなる花粉吸着性能の向上を図る。組み合わせ方については特許出願を予定しているため、詳述しない。 割り当てられた予算を用いて実験を効率化できる機器を購入し、より多くの条件で花粉吸着性能向上に関する実証実験を行う予定。 また、これまでの研究結果について、論文を投稿予定。
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