研究課題/領域番号 |
21K14298
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
高橋 良尭 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (10850521)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 都市発破 / 発破解体 / ニトロメタン / 爆燃 / 動的破砕 / 高エネルギー物質 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、都市部を中心にビル等のコンクリート構造物の老朽化が深刻化しており、その改修工事のため、火薬をはじめとする高エネルギー物質を用いた破砕技術の適用が考えられている。一般に、鉄筋コンクリート等の破砕には高エネルギー物質の爆轟という現象が利用されることが多く、特に欧米を中心とした国外では建物一棟を一度に破壊するような大規模な工事に使われている。しかし、この技術は過密化した日本の都市部では適用が難しい。そこで本研究では、爆轟とは異なり衝撃波を伴わない爆燃という現象を利用した小規模制御破砕技術の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
容器に入れたニトロメタンを大小径の異なるPMMAよびモルタル中空円筒管の内にそれぞれ装填し,電気雷管にて起爆した。円筒管の直下には圧力ゲージとPMMA板を設置し,雷管起爆後に発生する圧力をピエゾフィルムストレスゲージにより電気的に計測するとともに,PMMAに発生する応力波の伝播挙動や管の膨張の様子を高速度カメラで可視化計測を行い,拘束条件がニトロメタンの爆発威力におよぼす影響について検討を行った。 PMMA管内でニトロメタンを起爆させた場合には,管径の大小にかかわらず爆轟のような急激な圧力上昇は認められず,比較的ゆっくりとした圧力上昇を示し,同じ装填薬量であるものの管径が大きいほど圧力の持続時間が長くなる傾向が認められた。 モルタル管における実験では,管径の小さい場合は,PMMA同様急激な圧力上昇は認められず,PMMA管と似たような圧力履歴が得られた。一方で,径の大きなモルタル管における実験では,同じ実験系にもかかわらず実験ごとに大きな違いが認められた。ピーク圧に達するまで1μs未満の爆轟に近い急激な圧力上昇を示すものと,ピーク圧まで数μsの圧力上昇を示すもの2種類が確認され,実験ごとに明らかにニトロメタンの反応形態の異なる現象が発生することがわかった。本年度の実験では,この反応形態の決定要因を特定するには至らなかったが,モルタルの強度のわずかな差や潜在亀裂の多寡など,ごくわずかな条件の差により,反応の大きなばらつきを引き起こすものであると推測される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
拘束条件による,ニトロメタンの爆発威力について一定の評価を達成したものの,同じ拘束条件にもかかわらず発生圧力が異なる現象についての原因特定にいたらず,予定していた実施行条件に近い実験に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
拘束条件が同じにも関わらず,発生圧力が異なる現象(ニトロメタンの反応形態)について,更なる実験を進めるとともに,これまでの実験結果をもとに数値シミュレーションのための状態方程式や反応モデルに検討を行う。また,より実施工条件に近い環境下(試験体)で実験を行うともに,数値シミュレーションによる再現を試みる。これにより実験では観測困難な内部現象について詳細な評価を行うとともに,数値シミュレーションによって状況に応じた適切な破砕ディバイスの設計を可能とする。
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