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感染症予防のための大換気量を前提とした空調設備の検討とその最適制御手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K14303
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分23020:建築環境および建築設備関連
研究機関大阪大学

研究代表者

松尾 智仁  大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (30793674)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
キーワード換気 / 空気質 / 温熱環境 / CFD / 放射空調 / 超音波加湿器 / 室内環境 / データ同化 / 空調設備
研究開始時の研究の概要

オフィスや教室などの多人数が活動する空間では、感染症予防のため活発な換気が行われている。活発な換気は室内空気を清浄に保つうえで有効である一方、空調負荷の増大と、外気流入による温熱環境の悪化が懸念される。
そこで本研究では、室内環境のモニタリングにより室内環境を把握し、またモニタリングデータを用いて換気・空調設備の運転の最適制御手法を開発する。加えて、換気量を従来よりも引き上げた場合に、どのような換気・空調設備が最も効率的に室内環境を制御できるのかを検討する。
本研究は、換気状況を可視化することで在室者に安心を提供するとともに、過剰な換気による空調負荷増大や温熱環境悪化を抑制することができる。

研究実績の概要

本研究は、感染症予防意識の高まりなどの影響で居住者空間において従来よりも大きな換気量を設定するような運用の広がりを受けて、その温熱環境への影響を調査するとともに、もし温熱環境に対する悪影響が認められる場合には、その緩和手法を検討することを目的としている。
2023年度に引き続き、主として数値流体力学(CFD)シミュレーションを用いて換気量増加の影響を調査するとともに、温熱環境悪化の緩和手法についても検討した。前年までの成果により、換気量の増加が夏季・冬季の温熱環境の悪化に繋がることが確認されている。その影響は季節によって異なり、夏季は換気による流入空気温度が室温より高いため、浮力により流入空気は居住域(床~床上1.5m程度の領域)まであまり到達せず、天井付近の高い領域に滞留する傾向があった。これは、居住域の温熱環境の悪化が起こりにくい代わりに、換気による空気質向上の効果も小さくなることを意味する。冬季はその逆に、換気により流入した冷たい空気が浮力により沈むため、居住域に対する影響が大きい。すなわち、換気増加の影響の程度は、浮力の影響を比較的強く受けることがわかった。
そのような温熱環境の悪化に対する緩和手法として、「空調吹出温度の変更」「空調風量の増加」「換気設備の熱交換効率の向上」を検討した。いずれも一定の効果が見られたが、空調温度の変更は、室内の温度成層を強化する方向に作用するため、浮力の影響を強化することがわかった。空調風量の増加は、室内空気の撹拌により、浮力の効果をやや緩和する。そのため、夏季・冬季ともに居住域の気温の上昇につながることがわかった。
別のアプローチの研究に、冬季の換気による室内の相対湿度低下対策として、超音波加湿器のCFDモデル開発、放射空調使用時の室内温熱環境評価のために放射熱伝達解析モデルの開発などを並行して行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

大学の講義室を対象に測定実験を行うことで数値シミュレーションの結果の妥当性を検証することを計画していたが、測定機の不調等により、計画通りに測定実験を行うことができなかった。測定実験の実施は外気条件や講義室の使用状況の制約を受けるため、2023年度中に再実験を行うことができず、2024年度に持ち越しとなった。

今後の研究の推進方策

講義室を対象とした測定実験を行い、CFDシミュレーションにより得られた結果の検証を行う。また、数値実験においては、浮力影響の緩和手法としてシーリングファン等の導入効果について検討する。加えて、換気量増加の温熱環境への影響が、部屋の特性(天井高さ、水平方向広さ、部屋形状、換気設備・空調設備の位置、など)にどの程度依存するのかについて、CFDシミュレーションによる検討を行う。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (16件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 学会発表 (16件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 超音波加湿器の室内温熱環境への影響を表現するための粒径分布を考慮した水の相変化モデルの開発2024

    • 著者名/発表者名
      北浦雄介, 松尾 智仁, 大屋 那央, 石原 裕貴, 嶋寺 光, 近藤 明
    • 学会等名
      第53回空気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 放射モデルの精度評価および壁面放射率の違いが壁面熱収支に与える影響の解析2023

    • 著者名/発表者名
      山尾 佳菜子, 松尾 智仁, 嶋寺 光, 近藤 明
    • 学会等名
      令和5年度空気調和・衛生工学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 換気量の変化が室内温熱環境/空気質分布に与える影響のCFD による評価2023

    • 著者名/発表者名
      佐々木 圭吾, 松尾 智仁, 嶋寺 光, 近藤 明
    • 学会等名
      令和5年度空気調和・衛生工学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 超音波加湿器周辺の室内温湿度分布を推定するためのCFDモデルの風洞実験による検証2023

    • 著者名/発表者名
      石原 裕貴, 大屋 那央, 松尾 智仁, 嶋寺 光, 近藤 明
    • 学会等名
      令和5年度空気調和・衛生工学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] CFD simulation of the evaporation of droplets from an ultrasonic humidifier2023

    • 著者名/発表者名
      Ooya N., Ishihara Y., Matsuo T., Shimadera H., Kondo A.
    • 学会等名
      International Workshop on Environmental Engineering 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] ソース・レセプター関係を用いた既設空調の最適制御手法の推定2023

    • 著者名/発表者名
      ルディ 愛, 松尾 智仁, 嶋寺 光, 近藤 明
    • 学会等名
      第52回空気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 換気量の変化が室内温熱環境/空気質分布に与える影響のCFDによる評価2023

    • 著者名/発表者名
      佐々木 圭吾, 松尾 智仁, 嶋寺 光, 近藤 明
    • 学会等名
      第52回空気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 室内温湿度場推定のための超音波式加湿器のモデル化と風洞実験による検証2023

    • 著者名/発表者名
      石原 裕貴, 大屋 那央, 松尾 智仁, 嶋寺 光, 近藤 明
    • 学会等名
      第52回空気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ソース・レセプター関係を用いた空調機群の最適制御手法の逆推定2022

    • 著者名/発表者名
      松尾 智仁, 鹿山 和真, 嶋寺 光, 近藤 明
    • 学会等名
      第32回環境工学総合シンポジウム2022
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] CFDを用いた室内希薄ガスの濃度制御のための発生器の最適制御方法の逆推定2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木 絢子, 松尾 智仁, 嶋寺 光, 近藤 明
    • 学会等名
      第32回環境工学総合シンポジウム2022
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 超音波加湿器の室内温熱環境への影響を表現するCFDモデルの風洞実験による検証2022

    • 著者名/発表者名
      大屋 那央, 松尾 智仁, 嶋寺 光, 近藤 明
    • 学会等名
      令和4年度空気調和・衛生工学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 放射モデルの精度評価および壁面放射率が居住者の熱的快適性に与える影響の解析2022

    • 著者名/発表者名
      山尾 佳菜子, 松尾 智仁, 相澤 直樹, 大迫 孝輔, 嶋寺 光, 近藤 明
    • 学会等名
      令和4年度空気調和・衛生工学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 超音波加湿器の室内温熱環境への影響を表現するCFDモデルの風洞実験による検証2022

    • 著者名/発表者名
      大屋 那央, 松尾 智仁, 嶋寺 光, 近藤 明
    • 学会等名
      第51回空気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 放射モデルの精度評価および壁面放射率が居住者の熱的快適性に与える影響の解析2022

    • 著者名/発表者名
      山尾 佳菜子, 西本 啓祐, 松尾 智仁, 相澤 直樹, 大迫 孝輔, 嶋寺 光, 近藤 明
    • 学会等名
      第51回空気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 大空間における空調機器の最適制御に向けた、講義室の温熱環境の測定と解析2021

    • 著者名/発表者名
      鹿山 和真, 松尾 智仁, 嶋寺 光, 近藤 明
    • 学会等名
      第31回環境工学総合シンポジウム2021
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 放射率の変化が室内の温熱快適性に及ぼす影響のCFD解析2021

    • 著者名/発表者名
      西本 啓祐, 松尾 智仁, 嶋寺 光, 近藤 明
    • 学会等名
      第31回環境工学総合シンポジウム2021
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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