研究課題/領域番号 |
21K14309
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
|
研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
村上 早紀子 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (40803846)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 地方都市 / 地域交通 / 交通空白地域 / 自家用有償旅客運送 / 互助輸送 / 地域公共交通 / 中山間地域 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、交通空白地域の拡大および少子高齢化の進行といった課題を抱える地方都市における今後の移動支援の在り方を、住民組織が主体となった輸送サービスに着目する形で明らかにすることを目的とする。 具体的には、①交通空白地域でこれまで導入されてきた代替交通の実態および課題を整理し、②交通空白地有償運送の運行における対策を検証し、③近年新たにみられる地域交通の可能性となる互助輸送の継続的運行に向けた対策を検証し、④輸送サービス間のバリアへの対処策を明らかにすることで、輸送サービスの継続的な運行に向けた対策および住民の安心した移動機会の創出をはじめとした地域課題解決の展望を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
地方都市において交通空白地域の拡大および少子高齢化が進行する中、移動に不便を感じる住民が増加しているという現状の下、今後の移動支援の在り方を、住民組織が主体となった輸送サービスに着目する形で明らかにすることが、本研究の主たる目的である。 今年度は、主に次の二点に基づき研究を進めてきた。第一に、住民組織が主体となった交通空白地有償運送の運行における対策の検証である。調査を行った事例においては、住民組織が主体となり、行政と連携しながら10年以上にわたり継続運行していく中で、地域の移動支援につながっている実態が明らかとなった。中には住民組織の事務所として、市所有の遊休施設が活用されており、住民同士の「たまり場」として機能することでコミュニティ育成の場となっている事例も確認された。運行経費に関してみると、運賃収入や入会費・年会費、行政からの委託事業による収入を得ている事例の他、世帯負担金といった独自の手法を導入している事例もみられた。行政からの補助金の受給の有無も事例により差異がみられた。 第二に、互助輸送の継続的運行に向けた対策の検証である。互助輸送とは、道路運送法の許可・登録を要しない輸送形態であり、地域の助け合い・支え合いにより無償で運行されるものである。調査を行った事例においては、地域の住民が送迎チームを立ち上げ互助輸送を開始して以降、地域内の移動のみならず、路線バスへの接続のための移動支援にもつながっているといった実態が明らかとなった。一方、無償運行であるため、利用者は運賃を支払う必要がないものの、それが遠慮や申し訳なさとなり利用を避ける住民も一部みられるといった課題も明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のテーマである交通空白地有償運送に関しては、10年以上にわたり運行を継続している住民組織および行政組織にヒアリング調査を行い、これまでの成果や課題を把握し整理することができた。 互助輸送に関しては、交通空白地有償運送と比較して運行年数は長くはないものの、実態や成果を把握でき、今後の継続運行に向けた課題を明らかにすることができた。 以上のことから、最終年度の研究および成果につながる研究が進められたことから、おおむね順調に進展していると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
交通空白地有償運送に関しては、運行開始以降、住民の移動支援につながっており、利用者数も増加傾向にあるといった実態が明らかとなった。しかし運転手の高齢化など、前年度までの研究実績で既に明らかとなっている課題も同様にみられたことから、引き続き対策を検証していきたい。 互助輸送に関しては、地域交通の新たな可能性となり得るものの、導入事例は決して多くはなく、研究対象となり得る事例も未だ限定的である。また、今年度に調査を行った事例に関しては、互助輸送の運行を通して得られた課題を踏まえ、その後、自家用車有償旅客運送への切り替えが行われている。こうした様々な実態および課題を注視しながら、引き続き研究を進めていきたい。 本研究が今後、同様の輸送形態の導入を検討している自治体や住民組織に対して有益な視座となるよう、成果を蓄積させていく所存である。
|