研究課題/領域番号 |
21K14333
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 兵庫県立人と自然の博物館 |
研究代表者 |
福本 優 兵庫県立人と自然の博物館, 兵庫県立人と自然の博物館, 研究員 (80810168)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 団地再生 / ニュータウン再生 / 地方住宅供給公社 / エリアマネジメント / 郊外 |
研究開始時の研究の概要 |
ニュータウン(以下、NT)が抱える課題は複合的であり、多様な視点でNT再生を進めるタウンマネジメント(以下、TM)導入の有用性が指摘されている。その実現には、居住地区も対象とする公益的なTMが必要である。一方、地方住宅供給公社の持つノウハウやNT内資産を活用することで、NT再生に資するTM主体となれる可能性がある。 本研究では、既成NTへのTM導入プロセス、自主事業や他主体連携の組織運営などTM主体がNT再生時に果たすべき役割、TM主体として自主事業を多角的に展開する場合の公社法上の制約や財務等組織運営上の課題を明らかにし、公社による既成NTでの公益的TM導入によるNT再生手法を考察する。
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研究実績の概要 |
昨年度は、研究対象の1つである大阪府茶山台団地における研究結果を学術論文として公表することができた。本事例では、大阪府住宅供給公社が団地再生事業として行っている一連の取組において、多様な役割を果たしていることを整理した上で、地方住宅供給公社がエリアマネジメントに取り組むことが出来る可能性について示すことが出来た。団地再生事業においても、住宅用途だけに頼らずより多様な用途での利用が求められることを背景に周辺地域との関係性の中で、団地再生事業を運営しており、その結果エリア全体の価値向上に貢献している実態やその動きを実現するためには、団地マネジメントに対する専門人材の必要性があることなどを明らかにした。 また、コロナ禍の影響により地方住宅供給公社に対する直接的な調査が実施できていなかった期間に調査を進めた、ニュータウン再生のエリアマネジメントにおける資金源となりうる都市公園への便益施設導入による市民の公園利用への波及効果に関する研究についても、学術論文として公表することが出来た。便益施設の導入により、その施設周辺では利用者増が見られ、公園利用に変化を与える一方で、一定以上の距離が離れると影響は少なく、商業的な利用者増の影響で楽器の練習などの日常的な利用が減少する実態も把握できた。住宅を中心とするニュータウン再生においては、エリマネ組織は既存居住者のライフスタイルに配慮した公共施設の利活用が求められることが示された。 また、兵庫県住宅供給公社が参画するニュータウン再生事業については、国際学会において発表することが出来た。同時に開催地であったベトナムにおいても、エリアの個人での商活動の起点となっている団地について調査することができ、ニュータウンのパブリックスペースの利活用やその商業利用のマネジメント手法に対する知見を得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初想定していた、地方住宅供給公社に対する直接的な調査については、研究当初のコロナ禍とその後の社会情勢の変化により、現地調査の日程が決定できない等の課題から予定よりも遅れている。今年度は、こうした遅れている地方住宅供給公社(山形、島根)に加え、当初の予定にはなかった事例として群馬県地方住宅供給公社が運営する公営住宅におけるシングルマザー向けシェアハウスの調査などを予定している。 一方で、ニュータウンにおけるエリアマネジメントという視点では、エリアマネジメント組織のアセットとして具体的に可能性を見出すことができる都市公園においての便益施設に関する研究を進められたことや兵庫県住宅供給公社も参画して現在進めているニュータウン再生事例の中での取り組みに関しての調査なども実践することができた。また、こうした成果の発表のために訪れたベトナムにおいても、団地再生事例に関する調査を実施することができ、団地の空間を活用した事例から、公共空間での個人単位での商業利用のマネジメントの在り方についての調査も実施できた。また、住宅地のエリアマネジメントの先進地として、英国レッチワースの住宅地マネジメントについて、レッチワース財団へのヒアリングを実施することもできた。 当初想定していたエリアマネジメント実施主体である地方住宅供給公社の現状に加え、ニュータウン再生を実践する上で必要な公共空間や都市施設の利活用とそのマネジメントに関する研究にも着手出来ており、概ね順調に進んでいると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、遅れている地方住宅供給公社の事例について、2024年度内に複数事例の調査を予定している。山形県では地方住宅供給公社が取り組む中心市街地の再生事業、島根県では郊外住宅地における中古住宅流通促進事業、群馬県では公営住宅をシングルマザー向けシェアハウスとして転用した事例の運営実態について、それぞれ調査を進めることを予定している。 また、年度後半からは、全国の地方住宅供給公社を対象としたアンケート調査を設計し、年度内にはアンケート調査を実施することを予定している。 次年度が研究最終年度となるため、これまでの研究成果も踏まえて、地方住宅供給公社に関する今後の在り方について、公開研究会を実施できるように今年度中から企画を整理し、公開研究会として研究成果を公表するとともに、そうした研究会の中で得られた知見を基に、これまでの研究成果の取りまとめにつなげていくことを予定している。
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