研究課題/領域番号 |
21K14336
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
|
研究機関 | 奈良女子大学 (2022-2023) 京都府立大学 (2021) |
研究代表者 |
坂井 禎介 奈良女子大学, 生活環境科学系, 専任講師 (30865689)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 方丈 / 意匠 / 住宅 / 民家 / 書院 / 庫裏 |
研究開始時の研究の概要 |
日本建築では、構造と意匠が一体だと考える傾向があった。しかし近年、表と裏で異なる形状または材質を示す「見せかけ材」が存在することが示され、国内のみならず海外でも注目を集めている。見せかけ技法は、構造と関係なく意匠が作られるため、意匠の意図を客観的に分析できる新しい研究手法である。 本研究では、住宅建築を中心にして、日本建築を横断的に文献調査及び現地調査し、多種多様な見せかけ技法を発見し整理する。さらに、その見せかけ技法を用いるに至った歴史的経緯や意匠意図を分析する。以上によって、従来とは異なる新たな建築意匠観を提示するとともに、建築の意匠技法史を再考する基盤を構築することを企図する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、見せかけの意匠技法の分析という従来にはない新しい手法で住宅系建築を中心に日本建築を文献調査および現地調査し、見せかけ技法が用いられる箇所や形状を明らかにしていくことを目的としている。さらに見せかけ技法がなぜ用いられたのか、意匠的に何を意図しているのかを考察することで、従来とは異なる新たな意匠観を見出す。今年度は具体的には以下の研究実績があった。
1論文投稿…庫裏の研究が一通り終わり、論文投稿を行い審査中である。建築学会大会で「三渓園臨春閣の一木造り出し胴差にみる、意匠操作技法」と題して発表を行った。
2研究の新視点…方丈の研究を進めているが、その中で、軒や柱などを軽快に見せる意匠操作が多数発見された。例えば15世紀前期の竜吟庵方丈は、内部には15cmほどの径の太い桔木があるが、表には非常に細い部材(垂木幅6センチほど)がもちいられる。つまり、内部には太い部材を使用しても、外には非常に軽快に見せる。このような軽快な住宅系建築が建築意匠史の中でどのように位置づけられるのかを研究する必要があると考えた。 その視点を持ち、方丈内部を観察すると、内部の障壁画に竹林七賢図のような隠遁者の姿や、大きな山や川の流れの上にひっそりとたたずむ小さな庵が描かれていることにも気づいた。逆に外を見ると、庭に枯山水があり、山水を表現している。まるで障壁画の中の世界のように、大きな山水の中にたたずむ草庵のイメージが、方丈ではないか。これは方丈のみならず、住宅系建築全体に通底している可能性がある。そのような新たな視点をもったので、その視点で研究をまとめていきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文投稿を行うとともに、今年度予定していた庫裏の研究が完了した。これから方丈などの調査研究を行っていく。
|
今後の研究の推進方策 |
方丈の研究を、美術史、庭園史の横断的視点から進めていく。それにより、住宅系建築における美意識を明らかにしていきたい。
|