研究課題/領域番号 |
21K14337
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
|
研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
片桐 悠自 東京都市大学, 建築都市デザイン学部, 講師 (20801343)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | マンフレッド・タフーリ / ジャンウーゴ・ポレゼッロ / アルド・ロッシ / 幾何学 / Studio AUA / SDA / 設計論 / 建築史 / テンデンツァ / 建築設計 / 建築史・意匠 / 建築理論 / 図学 / ジョルジョ・ピッチナート / ヴィエーリ・クィリチ / ピエール・ヴィットーリオ・アウレーリ / テンデンツァ運動 |
研究開始時の研究の概要 |
20世紀を代表する建築史家と目されるマンフレッド・タフーリは、これまで日本語文献において、断片的にしか触れられてこなかった。タフーリに関する研究が世界各国で進む中、本研究は、特にタフーリとロッシとの関係に着目しながら、ロッシと特に関係の深かった建築家ジャンウーゴ・ポレゼッロとの関係を踏まえ、Studio AUAとしての1960年代のタフーリの設計活動を追うものである。
|
研究実績の概要 |
マンフレッド・タフーリの設計観について一定程度の進展があった。おもに二点に要約される。 一点は、「幾何学」への志向である。1960年代初頭のタフーリの設計者としての視点は、彼の新古典主義と啓蒙主義の関係の踏査、ルイス・カーンとピラネージ、ハドリアヌス帝とのアナロジカルな関係など、アルド・ロッシが『都市の建築』(1966)で醸成した類型と類推、建築の幾何学への志向を先取りして、タフーリが議論していたのではないかという視点が得られた。これは、二〇二四年に著した『アルド・ロッシ 記憶の幾何学』の三章に書き下ろしている。 もう一点は、「至高性」への意識である。『球と迷宮』はドゥニ・オリエ著『ジョルジュ・バタイユの反建築』の一節「ピラミッドと迷宮」との関連を考えるとき、タフーリのジョルジュ・バタイユへの関心とは、建築学・建築史学の「至高性:建築における罪」として読解する視点も可能だろう。建築家ベルナール・チュミが言及するような「違反 la transgression」についてではなく「罪(Le coupable)」としてとらえるタフーリの建築観がみてとれる。。ここにはタフーリ自身のユダヤ教とカトリック、マルクス主義のあいだで葛藤し、そのどれにも与さずに「人は痛みを知るべきである」という独特の人生観が反映されているのだろう。チュミが建築家として、別の機能と機能の混交(機能温室と陸上トラック、公園へのフォリーの挿入など)モダニズムの機能主義への「違反」を前提としているならば、タフーリの場合、「悪の建築家」または「悪の歴史家」として、建築における原罪のようなものを前提としていたとするなら、ピラネージやアドルフ・ロース、ロッシをマルキ・ド・サドの小説に関連づけて、『球と迷宮』で論じた背景も理解可能となる。この成果はISAIA 2024で発表予定である。
|