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ルネサンス期の彫刻家-建築家による建築創作手法の特質の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K14339
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分23040:建築史および意匠関連
研究機関岡山県立大学 (2022-2023)
京都美術工芸大学 (2021)

研究代表者

岡北 一孝  岡山県立大学, デザイン学部, 准教授 (00781080)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードルネサンス / 再利用 / エクフラシス / 建築模型 / マイクロ・アーキテクチャー / ミニチュア建築 / 彫刻 / 建築メディア / 建築 / 模型 / 建築家の職能
研究開始時の研究の概要

本研究は、ルネサンス期の彫刻家-建築家が制作した(墓廟、説教壇、天蓋など、マイクロ・アーキテクチャーとも呼ばれる)に着目し、それらを単なる彫刻作品ではなく、建築空間表現につながる造形ととらえ、その形態的特徴や、構想から実現までの創作過程などを、彼らが手がけた建築と比較することで、彫刻家-建築家に特有の彫刻的建築ともいえる性質を剔抉する。これまで「描かれた建築」について研究を進めてきたため、絵画的建築と彫刻的建築といえるルネサンス建築の二大潮流を丁寧に分析した結果を統合することで、この時代の建築創作手法の特質を総体的に明らかにすることができると考える。

研究実績の概要

2023年度は3つの成果を論文として公表することができた。それらは次の3点で要約できる。
1. 再利用の手法の変遷にみるローマ・ルネサンス建築のかたちと物質性
2. 建築・文学・美術を統合的に考えるための建築エクフラシスへの注目
3. ルネサンス建築における古典主義の諸相:アルベルティとジュリアーノ・ダ・サンガッロ
ルネサンス期において建築を構想・デザインするということは、建築の「かたち」だけを設計するのでなく、「意味のネットワークの器」を作り出すことでもあった。その際に活用されたのが、建築素描であり建築エクフラシスであり、再利用(スポリア)であったと考えられる。とりわけ建築エクフラシスは重要な役割を持つ。建築エクフラシスは、その言葉を受け取る人たちの事前の経験に対応しやすい一般的なイメージを援用することと、描写の対象とする建築の特徴を時間の経過の中で示すことで、人々の仮想的な空間体験を鮮明にさせるとともに、建築の壮大さや偉大さを表現しようという試みであった。ルネサンス期の建築エクフラシスはまさにその特徴が強調されている。さらにルネサンス期では、建築を構想する、ないしは設計するという行為のプロセスを言語化し、 建築エクフラシスとして表現するものが見られる。それは建築設計という行為が、図面や模型というメディアのみならず、言葉によってもなされていたことを示している。本年度の研究では、ヴィッラ・マダマに関連する建築エクフラシスを読み解くことで、古代建築を連想させる装飾や古代彫刻の再利用(引用)などをさまざまに組み合わせて空間を創出することが、一種の詩を作り出すことでもあったことを示唆した。さらに、ジュリアーノ・ダ・サンガッロの素描がエナルゲイアやファンタジアを強調した独自の古代建築像を生み出しており、それが詩的で建築エクフラシス的であることを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

2023年度は2024年4月以降に公表される研究成果を含めて、三つの口頭発表を実施し、三つの論文をまとめることができた。その点からも本研究は順調に進んでいると言える。
特に研究の実施当初は、「ルネサンス期の彫刻家-建築家による建築創作手法の特質の解明」というテーマにおいて、これまで共同研究等で進めてきた「建築エクフラシス」の視点をどのように関係づけるかが見えていなかったが、古代彫刻(広い意味で円柱などの建築部材も含む)の再利用や蒐集と展示も建築家の創作の中に位置付けることができそうである。このような新しい研究の糸口が見つかったことが大きな収穫としてあげられる。

今後の研究の推進方策

2024年度は現地調査を実施して(主にルネサンス期の邸宅やヴィッラにおける蒐集と展示について)、2023年度に公表した3つの論文を、研究協力者であるFrancesco Polo di Teodoro氏やLorenzo Grieco氏と議論し、ブラッシュアップすることで、ヨーロッパでの成果発表へとつなげたい。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (18件)

すべて 2024 2023 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] 再利用の手法の変遷にみるローマ・ルネサンス建築のかたちと物質性2024

    • 著者名/発表者名
      岡北一孝
    • 雑誌名

      カルチュラル・グリーン

      巻: 5 ページ: 23-45

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 建築家がみた15世紀半ばの都市ローマ:アルベルティとジュリアーノ・ダ・サンガッロ2024

    • 著者名/発表者名
      岡北一孝
    • 雑誌名

      日伊文化研究

      巻: 62 ページ: 13-24

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] イタリア・ルネサンスの建築エクフラシス:建築・文学・美術を統合的に考える2024

    • 著者名/発表者名
      岡北一孝
    • 雑誌名

      Arts & Media

      巻: 14

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] ジュリアーノ・ダ・サンガッロと古代2023

    • 著者名/発表者名
      岡北一孝
    • 雑誌名

      日本建築学会大会学術講演集

      巻: 2023 ページ: 207-208

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 初期近代のサン・ピエトロ聖堂造営事業からみた建築の生と死:建築の永続性をめぐって2023

    • 著者名/発表者名
      岡北一孝
    • 雑誌名

      カルチュラル・グリーン

      巻: 4 ページ: 3-28

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 初期近代ヨーロッパにおけるマイクロ・アーキテクチャーの展開と建築模型の役割2022

    • 著者名/発表者名
      岡北一孝
    • 雑誌名

      022年度日本建築学会大会 建築と模型[若手奨励]特別研究委員会PD資料

      巻: - ページ: 11-22

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] アルベルティ『建築論』のpulchritudoとornamentum ―建築における美と装飾を再考する―2022

    • 著者名/発表者名
      岡北一孝
    • 雑誌名

      京都美術工芸大学

      巻: 2 ページ: 49-65

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] マイクロ・アーキテクチャー2022

    • 著者名/発表者名
      岡北一孝
    • 雑誌名

      日本建築学会 建築と模型[若手奨励]特別研究委員会 報告書

      巻: - ページ: 13-16

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 15 世紀イタリアの建築、彫刻、模型:マイクロ・アーキテクチャーの視点から2022

    • 著者名/発表者名
      岡北一孝
    • 雑誌名

      日本建築学会 建築と模型[若手奨励]特別研究委員会 報告書

      巻: - ページ: 55-70

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] イタリア・ルネサンスの建築エクフラシス概説2024

    • 著者名/発表者名
      岡北一孝
    • 学会等名
      国際研究会「脱線」digressionの創造力:初期近代西欧の視覚芸術と修辞学の協奏
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ローマのルネサンス建築における 再利用・引用・複製:建築の真正性をめぐって2023

    • 著者名/発表者名
      岡北一孝
    • 学会等名
      カルチュラル・グリーン研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 初期近代ヨーロッパにおけるマイクロ・アーキテクチャーの展開と建築模型の役割2023

    • 著者名/発表者名
      岡北一孝
    • 学会等名
      日本建築学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 建築は永遠であるべきなのか?イタリア・ルネサンスにおける廃墟と再生2022

    • 著者名/発表者名
      岡北一孝
    • 学会等名
      カルチュラル・グリーン研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] アルベルティのvarietasとconcinnitas2021

    • 著者名/発表者名
      岡北一孝
    • 学会等名
      初期近代の文芸・芸術におけるvarietasとinventio
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 原典 イタリア・ルネサンス芸術論 上2021

    • 著者名/発表者名
      池上 俊一
    • 総ページ数
      524
    • 出版者
      名古屋大学出版会
    • ISBN
      9784815810269
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [備考] researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/albertiana

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 岡山県立大学教育研究者総覧

    • URL

      https://gdata.oka-pu.ac.jp/profile/ja.f4c6b453778a9062520e17560c007669.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] リサーチマップ

    • URL

      https://researchmap.jp/albertiana

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書 2021 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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